あの日の白いモビルスーツ 1977年からのオタク回想録その3 (2/4ページ)

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でも、何しろ我が家は繁華街のど真ん中でしたので、一人でふらふら覗きに行くことに抵抗はなかったのです。

見た瞬間「ブロックくずし」以上の衝撃が走りました。何しろ、それまでは「棒」と「点」を頭の中でラケットと、壁のような何かに見立てる必要があったわけですが、今回は、見事にキャラクターとして動いているのです。

中学生にとって1プレイ100円は、とても気軽に遊べる金額ではありません。アニメの本を手に入れるには、小遣いだってぜんぜん足りないくらいなのです。それでも、あのモニタに浮かぶインベーダーの美しさと、コンピュータ音の未来感には抗えませんでした。日に日に目に見えて進化するビデオゲームもまた、アニメと同じように、テレビや友達からは得られない「情報」のひとつだったんです。

スペースインベーダーのブームは嵐のように巻き起こりました。年の暮れには、喫茶店にテーブル筐体が登場し、祖父や叔父に連れて行ってもらい、その場限りのこづかいをねだってプレイさせてもらいました
最後にアニメ好きの友人の家に行った時のことは、今でも記憶に残っています。アニメージュ最新号を見ながらのお姉ちゃんとの会話でした。

「今、富野監督がつくってる、機動戦士ガンダムはとにかくすごいに違いない。なんといってもキャラクターデザインは安彦さん。知ってる? ライディーンや、ザンボットの人だよ? 見て、このキャラクター!」

確かに、掲載されていた「現在製作中」のガンダム紹介記事のデザインは目を引くものがありました。「安彦さん」という、名前だか苗字だか判別できないスタッフ名を、当たり前のように話題に出されたのもショックでしたが、何より印象に残ったのは、そこに掲載された白くて、見たこともないスマートなロボットのデザインだったのです。「すげえ!! ふくらはぎがある!!」それが、自分とガンダムとのファーストコンタクトでした。

それでも、正直そこまで期待していいかは、まだ疑問がありました。お姉ちゃんのお墨付きだからすごいには違いないだろうけど(何しろ洗脳済みなので)、肝心のガンダムは、相変わらず鎧武者のような見てくれだし、何より「手に銃を持っている」。これは、ザンボットの時から感じてた違和感なんです。

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