リベンジポルノで初の逮捕…取り締まり強化で“泣き寝入り”は減るのか
米Facebookが3月中旬、不適切なユーザー投稿を削除する基準として「リベンジポルノ」を新たに対象に加えることを明らかにした。具体的には「被写体の許可なく投稿されたみだらな画像」とし、ヘイトスピーチやテロ集団による投稿などと同様に禁止される。また、Twitterも同時期に利用規約を改定し、リベンジポルノの投稿を禁止した。
近年は国内外で「リベンジポルノ」に対する関心が世界的に高まっている。
元交際相手のヌード写真を公開…国内で初の逮捕者
「リベンジポルノ」とは、元交際相手の性的な写真・動画を復讐目的でネット上に公開すること。一昨年(2013年)に起きた「三鷹ストーカー殺人事件」で被害者の性的写真が犯人によってネット上にバラ撒かれたことをきっかけに国内でも問題視され、昨年(2014年)11月に「リベンジポルノ防止法」が施行された。
今年3月11日には、鳥取県の無職の男(39)がニコニコ動画で知り合った元交際相手の女子学生(20)のヌードや性行為中の写真をTwitterで公開したとして逮捕。ネットを利用した同法違反で初の適用となった。
リベンジポルノに対する取り締まりは非常に厳しい。一部では「女性の顔にモザイクを入れれば逮捕されない」「カラダが映っているだけなら大丈夫」と思っているネット利用者もいるが、同法では顔が写っているかどうかに関係なく、身体的な特徴や写真の背景などに個人を特定できる要素があれば摘発の対象。有罪になれば懲役3年以下もしくは50万円以下の罰金となる。
泣き寝入りが絶えない理由
だが、これでもリベンジポルノの根絶は難しいとの意見がある。
被害者は交友関係や生活が崩壊するほどの大きなダメージを負うのに対し、加害者は前述のようにそれほど重いとはいえない刑罰。復讐心に燃え上がった状態ならば「捕まってもいい」「初犯なら実刑はない」という気持ちで罪を犯しかねない。法律があるに越したことはないが、どの程度の抑止力になるのかは微妙なところだ。
また、根本的な「泣き寝入り」傾向は変わっていないとの指摘もされている。
「同法は被害者らの申し立てがなければ起訴できない親告罪。もし被害を訴えれば『裸の写真は私です』と言っていることになるため、なかなか被害者は起訴に踏み切れない。セカンドレイプの危惧もあります。もし内々で起訴を進めたとしても、今回の事件では容疑者の氏名が全国的に報じられ、被害者も名前こそ伏せられているものの住んでいる自治体や年齢、肩書きが公表されている。これでは知人の間で誰なのか知れ渡ってしまう危険性がある」(全国紙記者)
今後はリベンジポルノ取り締まりのために警察がサイバーパトロールを実施し、被害に気付いていない人物に起訴するかどうか確認するような流れも検討されている。だが、前述の理由もあって起訴に踏み出せる被害者はどれほどいるか。いくら法律で規制しようとも、被害者が圧倒的に不利な状況は変わっていないのだ。
リベンジポルノ被害を防ぐ唯一の方法
であれば、被害に遭わないように自衛するのが最も賢明。リベンジポルノの被害者は大半が女性であり、当然ながら女性側が写真を撮影させないようにするのが最大の防止策だ。
だが、これがなかなか難しい。ケータイのカメラ機能が浸透した近年は、カップルの間で性的な写真をやり取りしたり、ヌード写真を撮影することが珍しくなくなっている。2008年に米国で行われたアンケート調査では、1280人に若者のうち10代の20%、20〜26歳の33%が「自分のヌードまたはセミヌードを送った経験がある」と答えている。おそらく日本でも大差ない割合で行われていることだろう。
その理由としては「ノリや雰囲気を壊したくない」「恋人に嫌われたくない」といったものが挙げられている。恋人から「ヌード送って」「撮らせて」と言われれば、なかなか断れないのが実情というわけだ。ヌード撮影や性的な写真のやり取りがセクシーなムードを高める側面もあり「撮影させない」を貫くのは難しそうである。
ならば、どうすれば被害を抑えることができるのか。
最も確実なのは「絶対に顔を隠す」という方法だ。ヌード撮影に応じても顔さえ映っていなければ、第三者が当人であると確証を得るのは難しい。仮に元恋人がリベンジポルノを仕掛けてきたとしても無視すればいいだけの話。もし誰かに追及されても、自分ではないと言い張ればダメージを最小限に抑えられる。個性的なタトゥーやピアスなど身体に極端な特徴があれば否定も難しくなるが、大半のケースで対処できる方法といえるだろう。
もちろんリベンジポルノのような卑劣な犯罪は罰せられるべきだが、前述のように被害者にも大きなリスクがあるため、場合によっては「泣き寝入り」が得策ということもある。被害者が傷つくことなく訴え出ることができるシステムが構築されればいいのだが、今はこれしか手がないのが実情なのだ。
(文/佐藤勇馬 Photo by mislav-m via flicker)