名古屋妊婦切り裂き殺人事件 後編 (3/3ページ)

日刊大衆


「まあ、海外との関係なんて情報はどこにも出ていないので、ないとは思うんですが……。怨恨の線で関係者が出てこない場合、こういった可能性もなくはないという仮説です。でも、もし怨恨説だった場合に、快楽殺人とは決定的に違うものがあります。腹を切り裂いた理由です」

これほどまでに残虐な行為の意味が違うとは、いったい、どういうことか?
「お腹の子に罪はないという発想です。犯人は赤ん坊を生かすために腹を切り裂いたんじゃないか」

胎盤で母体と繋がっている状態の胎児は、母親が死亡すると、酸素不足のため死んでしまうが、10~15分程度は生きているという。Mさんを絞殺したあと、このままでは胎児の命が危ないと感じた犯人が、助けようとして取り出した可能性があるというのだ。実際に、赤ん坊は一命を取り留めている。
「どちらの説にしても、お腹に詰められた電話と人形の謎は残ります。何を意味していたのかは、さっぱりわからない。もしかしたら、なんのメッセージもなかったのかもしれないですね。気が動転して、とっさに意味不明の行動に出るという犯罪心理もありますから」

快楽殺人か怨恨による殺人か。どちらにしても計画的な犯行である可能性は高いという。そして偶然にも、そこに窃盗犯らしき人間が現れたことで捜査が撹乱されてしまったというのであれば、なんという悲劇だろう。言いようのない怒りを感じずにはいられない。

しかし、この事件には一つだけ救いがあった。それは、助かった男の子が元気に成長したことである。Sさん親子は、事件のあとにMさんの両親の近くで何年か暮らしたあと、父子でハワイに移住したという。後の報道によれば、Sさんは息子に事件のことは話していないし、話すつもりもないと言っている。

その子も27歳になった。彼は現在も事件を知らないのだろうか。もし仮に知ってしまったのであれば、時効になったいまでも、その解決を一番望んでいるのは彼なのかもしれない。

監修/北芝健
取材・文/川口友万
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