名古屋妊婦切り裂き殺人事件 後編 (2/3ページ)
「特に今回の場合、犯人は男でしょうね。妊婦に対して歪んだ性癖を抱くのは男性であることが多いですし、両手を縛って一気に絞殺していることや、短時間で胎児を取り出していることから考えても、非力な女性では無理な犯行です」
その手際のよさから、一時は医療的知識を持った者とも言われたが、
「帝王切開は、上から下に切りますが、この事件は逆に下から上。ためらい傷はつけなかったものの、2~3回、同じ場所を切っている。明らかに素人です」
妊婦の腹を切ってみたいという異常な衝動に駆られた若者による快楽殺人。恐ろしい話ではあるが、そう断定するには不可解な点があると、北芝氏。
「一気に首を絞められたからと考えられなくもないですが、同じアパートの住人が悲鳴を聞いていないのが、どうしても引っかかる」
そこで、もう一つ考えられるのが、顔見知りによる犯行だという。当初、警察も"居直り強盗説"を追う一方で、怨恨の線でも捜査をしていた。そのとき捜査線上に浮かんだのは、夫のSさんだった。電気が消えていて、玄関の鍵が開いていたにもかかわらず、着替えをしてから発見しているところなどを不審視され、警察の聴取を受けている。
しかし、Sさんには確固たるアリバイがあり、犯行は不可能だった。ほかにも夫妻の仕事関係や交友関係など、くまなく調べられたが、恨みが生じるようなトラブルは出てこなかった。
「ただ、警察の手の届かないところに、その伏線があったら、話は別です」
お腹を切り裂いた真の理由は何か?
北芝氏は、あくまで憶測の域を出ない話だが、と断わったうえで、こう続ける。
「犯人が外国への逃走ルートを確保していた場合、捜査の手が及びづらいことがあります。国外に逃亡なんかされたら、そう簡単には見つからない。確か、Mさんがやっていたサイドビジネスは、外資系の会社でしたよね。外国との絡みはなかったんでしょうか?」
紹介型の販売商法は、一部、"マルチ型商法""ねずみ講"と言われるものもあり、トラブルが生じた事例も少なくないビジネスだ。当時の報道でも、このビジネスの関係者を疑う週刊誌は、いくつかあった。