食うか、食われるか。『人喰いのすすめ』 (2/5ページ)

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 ──アントニオ。『人喰いのすすめ』のアイデアはどこからわいたのかおしえて。

 A:自分たちの文化の先入観を超えるための、出発点のような役目を果たすフィクションを探していた。そんなとき、ドイツ人医師のヨハン・バプティスト・フォン・スピックスとカール・フリードリッヒ・フィリップ・フォン・マルティウスが1817年に南米を旅したときに書いた手記の中で、ミラーニャ族という部族のことを知った。

 彼らは初めてミラーニャ族と会ったとき、族長にどうして人喰いをするのかと訊ねた。族長は、人喰いに異を唱える人がいるのはおかしい。あなた方白人は、おいしくてもワニやサルは食べないだろう。でも、ブタやカニが十分にいなければ、きっと空腹でワニやサルも食べるはずだ。これはすべて習慣の問題だ。敵を倒したとき、その肉を無駄に捨ててしまうより、食べたほうがいいに決まっている、と答えた。

 ──それは、おもしろいたとえだ!

 A:ぼくも大いに感動して、人喰いのようなタブーな食を探求することによって、文化の相対主義の限界を試すことができるのではと思いついた。なにを倫理的と考えるかについて公に話し合い、なにが人間の行動として受け入れられないかを定義するのは難しい。

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 ──イメージというものは、確かに多くの考えを生み出すが。

 A:ぼくたちの社会ではタブー視されている人喰いは、暗く複雑な感情を生み、先入観に挑んでいるといえる。人々を巻き込むのにおあつらえむきのテーマになる。

 ──その通りだが、人間が互いに共食いするのを許されるべきだと思うのか?

 A:すべての風習は習慣の問題で、どんな行動が良くて、なにがダメなのかを決めつけることはできない。
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