何でもアリの新感覚ホラー! 白石晃士監督『超コワすぎ!』最新作発売記念インタビュー (3/5ページ)

デイリーニュースオンライン

爆笑できるホラーの秘密

──工藤さんは本当に凄まじいですよね。証言者が口をつぐんだらとりあえず殴って喋らせようとするし……金属バットを持って口裂け女を追っかけたり……。そういった工藤さんの行動にホラー映画にもかかわらず劇場では爆笑の連続なんですが、監督はホラーと笑いのバランスはどう考えて作られてるんですか?

『戦慄怪奇ファイル 超コワすぎ!FILE-02 暗黒奇譚!蛇女の怪』(C)ニューセレクト

白石「いや、自分は笑わせようと思って作ってはないですね」

──えっ、そうなんですか!

白石「ただ、キャラクターって愛嬌がないと視聴者が好きになれないので、工藤にしろ市川にしろ愛嬌は持たせてるんですよ。その愛嬌からくる言葉とか行動とかで当然ユーモラスなところも出てくる、っていうことですかね。現象としては起きてること自体は恐ろしいことなので……それに対するキャラクターのリアクションですよね、皆さんが笑ってしまうのは。私自身は笑わせるつもりはないんですが、キャラクターがそういうリアクションをするなら笑う人もいるよね、というのは理解しています。けど、ギャグじゃないんです。キャラクターの愛嬌がそう感じさせてるんです」

──笑いを取ろうと思って脚本を書いているところはない、ということですか。

白石「そうなんですけど、でもキャラクターが動いて、『これはどう考えても笑っちゃうよな(笑)』っていうのはありますね。『コックリさん』の時のニンニクのシーンとか」

なぜ市川は転職しないのか

──笑いが起こると言えば、劇場では工藤が何か言うたびに、横で市川が心底嫌そうな目で工藤を見ていて、その度に笑いが起こっていました。『超コワすぎ!』になってから『コワすぎ!』の時よりも市川の工藤を見る視線が露骨に嫌そうなんですが、二人の間に何かあったのでしょうか?

『戦慄怪奇ファイル 超コワすぎ!FILE-01 恐怖降臨!コックリさん』(C)ニューセレクト

白石「市川を演じている久保山さんが、実際に『コイツ本当に嫌いだな』と思ったそうで……。前の工藤だと、もしかしたら信頼できるのかな、みたいな、嫌なヤツだけど信じていい部分もあるのかな、と思っていたのが、超コワすぎの工藤にはそれがない、という感じでしょうか。すると芝居が自然とそういう風になってしまった」

──それは『超コワすぎ!』の世界では、『コワすぎ!』の世界と違って制作チームはロクな映像が撮れていないから、工藤のディレクターとしての信頼度が下がったということでしょうか?

白石「いえ、工藤のキャラクターが違ってきたせいでしょうね。『コワすぎ!』の工藤は過去の残酷な出来事を受け止めて生きてきましたが、『超コワすぎ!』ではそれがないので、ある種深みのない人間になってしまったんです。やっぱり人は悲しい目に遭っていた方が人にも優しくできるんですよ」

──ええっ! 工藤さん、優しくなってあれだったんですか……。

白石「そうですね! あれで最大限でした!!」

──工藤さん、『超コワすぎ!』になってから、すごくビビリになってて、ちょっとでも危ないところには必ず市川を先行させるとか徹底してるんですが、それもやはり過去の問題がなくなったせいで……。

白石「そうですね。問題がなくなったせいで、逆に人間としては問題になっている(笑)」

──市川は逆に力強くなりましたね。『FILE02』でも工藤さんがビビってる中、木刀を持って外に飛び出すとか、相当アグレッシヴ。

白石「自然とそうなっちゃったんですよね。『コワすぎ!』の時のように、工藤が命懸けで市川を助けるために行動を起こす、みたいなことが考えにくくなってて。そうなると、市川の方がアクションを起こさないと……」

──市川はなんであんな劣悪な職場なのに転職しないんですか? 怪奇現象には巻き込まれるし、上司は工藤さんだし……。

白石「たぶん金払いがいいんですよ。あれ作ってるの工藤、市川、田代の三人だけじゃないですか。工藤自身も色々作業をしてるし、人数を減らすことで予算を下げて、その分一人あたりへの分配を高くしていると思うんですよね。だからまず金ですね」

──金ですか!

白石「それと『超コワすぎ!』では市川自身にも兄が怪奇現象に巻き込まれたという設定がありますから、もともと超常現象を信じていて、今の仕事の内容にも親和性があるんでしょうね」

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