男の楽園が消える!? 「首都圏フーゾク壊滅作戦」全情報
次の東京オリンピックで、問題になっているのは国立競技場だけじゃない。夢の楽園が失われつつあるのだ。
「これは、首都圏のフーゾク業界を壊滅に追い込むための前兆かもしれません。ウチの店だって、うかうかしていられないかも……」
都内の人気ピンサロの店長が、そう警戒を強めるのも無理はない。
7月14日、東京・新橋にある2つのピンサロ『CLUB Tiara』と『新橋女学園』の経営者らが、電波法違反の容疑で、相次いで逮捕されたからである。
売春禁止法違反や公然わいせつ罪ならともかく、フーゾク店で電波法違反とは、異例な事態。
風俗ライターが解説する。「この2店は、同じグループが経営する姉妹店。客の案内をスムーズに行うため、双方の従業員同士が無線機を使って、店内の空席状況などの情報を共有し合っていたんです」
携帯電話は、基本的に一対一の通話しかできないが、無線は皆が一斉に情報を共有でき、状況把握がしやすいため、非常に利便性が高いのだ。
「確かに法律上は、アマチュア無線でも国家資格と許可がいるので、これを無許可で行っていたのは法に反してはいますが……。それで逮捕されるなんて、なんだかキナ臭いものを感じます」(風俗ライター)
それを引き継ぐように、前出のピンサロ店長が、声を潜めて話す。
「これはイジメというか、こじつけ、見せしめですよ」
続けて、
「実際には無線なんて、繁華街に出れば、キャバクラや居酒屋などの客引きなどが、当たり前のように利用していますからね。そんな中、狙い撃ちされたかのようにピンサロが摘発され、大きく報じられたわけです。"これからは、風営法違反はもちろん、電波法違反でもガツガツ摘発していくぞ"という、当局のアピールなんじゃないですかね」
そもそも、風営法自体、非常に曖昧なものだ。
「たとえばピンサロの多くは、風俗営業第二号の許可を取って営業していますが、これは通常のパブやスナックと同じもの。つまり、もともと、性風俗関連特殊営業に位置づけられていないんです。にもかかわらず、口唇による性的サービスを主に行っているため、いつ当局による営業停止処分などを受けても仕方がないのが現実です。しかし、よほど派手に営業でもしない限りは、黙認されてきたわけです」(前出の風俗ライター)
それを今になって摘発に動き出した背景には、何があるのだろうか。
夕刊紙デスクは、「2020年に開催が決定している、東京五輪・パラリンピックの存在がある」と推測する。
「02年の日韓ワールドカップ開催時にも、都内の繁華街で風俗店の大規模摘発が行われていました。そのため、東京五輪の開催が決まった当初から、"強烈な締めつけが行われるのでは"と危惧されていたんです」(夕刊紙デスク)
こうした、スポーツの国際大会や国民体育大会が開催される都市では、大勢の観光客を見込み、「イベントを目的に来日、来県した人たちが安心して楽しめる繁華街を目指す」という大義名分で、大規模な浄化作戦が繰り広げられるもの。
今回、"サラリーマンの聖地"としてつとに知られる新橋がターゲットにされたのも、
「銀座から新橋にかけてのエリアは、東京五輪の選手村が建設される予定の晴海地区からのアクセスがいいところ。また、国内外からの多くの観光客による経済効果を狙っている、16年11月にオープン予定の中央卸売市場豊洲市場からも、目と鼻の先ですからね。何より、多くの官公庁が集中する霞が関のお膝元でもありますから、まずは、このエリアからターゲットにされた可能性はあるでしょう」(同デスク)
残るのはゴーストタウンのみ
もちろん、これから歌舞伎町や鶯谷、吉原などの定番風俗エリアにも、浄化の手は伸びてくるに違いない。
「03年には、石原慎太郎都知事(当時)の号令のもと、歌舞伎町の大規模浄化作戦が展開されました。以降、歌舞伎町は、すっかり活気を失ってしまいましたよね」(同)
そうなれば、東京五輪が終わったあとには、ゴーストタウンと化した繁華街が残されるばかりという、悲惨な状況が待ち受ける可能性もあるだろう。
また、一方でこんな話もある。
「歌舞伎町がいい例ですが、摘発されて行き場をなくした一部の風俗関係者は、闇に潜り、暴力団などと結びついて、さらに悪質さを増し、市民生活を脅かす存在になるケースがあります。昨今、社会問題になっている、悪質なボッタクリ店が、まさにそれ。最近になって、ようやく摘発されるようになってはきましたが、必要以上の締めつけは、こうした強烈な副作用を生んでしまう恐れがあるんです」(前出の風俗ライター)
『なめだるま親方』として知られる、風俗ジャーナリストの島本慶氏も、「確かに、これからジワジワと締めつけがキツくなってくるかもしれませんね」と、状況を不安視する。続けて、
「正直なところ、これ以上、景気を悪くしないでほしいですよね。悪質な店の摘発はぜひ進めるべきですけど、くれぐれも臨機応変にお願いしたいですね。昔からよく言われるように、"繁華街は清濁合わせのんでこそ健全"だというのは、その通りなんですから……」
チリひとつないクリーンな街には深みがない。街も人間も、いかがわしさがあるからこそ、魅力的なのだ。