【実践】小じわやニキビに効果…魔法のビタミン「ナイアシン」で本当に美肌になるのか
一部の健康オタクの間で人気上昇中のナイアシン。ナイアシンはビタミンB3の別称だ。このナイアシンがかなりの優れものなのだ。
ナイアシンは脂質や糖質をエナルギーに変えるために不可欠な物質で、油っぽい食べ物や甘いものを食べると急減する。ナイアシンが減ると肌が脂っぽくなるため、ニキビや吹き出物の原因になる。
私は中年の男なので、とにかく顔がべたつく。脂ギッシュである。自転車に乗っていてコバエの群れに突っ込み、目を開けたら顔がかゆい。手で拭うとコバエが数匹、もがいていた。ゴキブリホイホイか、私の顔は。
ナイアシンが不足すると顔がべたつくらしい。それなら、私にはナイアシンが不足している。日本人の食生活ではナイアシンは不足しないという話だが、ならなぜ私の顔はてんぷら屋の換気扇みたいな粘りなのか。おかしいだろう。小学生の頃から延々とニキビに悩み、ニキビが収まったと思ったらやってきたのは小蠅殺油地獄。私の前世はガムテープなんだろう、きっと。
強烈な“ナイアシンフラッシュ”
しかし肌にはいいのかもしれないが、ナイアシンには副作用があるという。ナイアシンフラッシュだ。永井豪的なそのフラッシュは、数百mg単位でナイアシンを飲むと起きるという。
ナイアシンには血管を開く作用がある。それも普段は開かないような肌の中の小さな血管を集中的に開く。広がった血管に血液が流れ込み、肌が赤くなる。血行が良くなるというのは、肌にはとてもいいことで、くすみの原因になる老廃物は流され、細胞の代謝の遅れも改善される。肌の細胞がリフレッシュされるのだ。
しかし一方でかゆくなる。それも猛烈にかゆくなる。熱い風呂に入ると全身がかゆくなるけれど、ようはあれと同じことをナイアシンが引き起こすのだ(細胞の中のかゆみ成分が放出されるという説もある)。
肌が真っ赤になり、猛烈にかゆくなる副作用があるのだ。それをナイアシンフラッシュと呼ぶ。
なめてかかっていた。最初に飲んだ時、飲んで30分後に起きたナイアシンフラッシュは、じんましんのように強烈だった。首まで真っ赤になり、首筋から太ももから背中から、あらゆる場所がちくちくと内側からかゆく、まさにアレルギー症状。ふざけるな、だまされた、アトピーの子はこれが続くのか! と愚痴を言いながらも、どうにもならずに氷で首を冷やして寝た。夕方に寝て、そのまま朝まで寝ていた。
そういうわけで放り出していたナイアシンだが、捨てるのももったいない。久方ぶりに取り出し、飲んでみた。すると30分ほどでナイアシンフラッシュが起きたものの、数時間で収まった。初めての時の何もできない感じはない。
以来、ナイアシンを飲み始めて1カ月以上経つ。劇的に顔のベタベタが減った。おでこがツルツル。お肌が大変よろしい。目元の縮緬しわがちょっとづつ薄くなっている。
ナイアシンが不足するとペラグラという病気になる。中南米やイタリアなどトウモロコシを主食とする地域で起きる。ナイアシンは体内でトリプトファンというアミノ酸から合成されるが、トウモロコシにはトリプトファンが少ないためナイアシン不足になりやすい。
ペラグラにかかると手足に赤い発疹ができ、やがて皮膚が紫色に変色してひび割れ、ボロボロになる。喉や腸にも異常が出る。消化器官は皮膚の一種だから、皮膚と同じような異常を起こすのだ。逆に言えば、ナイアシンはペラグラのような症状が起こらないように肌を美しく保つビタミンだと言えるのだ。
またセロトニンという記憶力や運動能力、気持ちや情動の調節、体内時計の調整など人間の活動全般に幅広く影響する脳内物質の合成に不可欠な物質だ。ナイアシンが不足すると、うつ病や統合失調症になると言われている。
肌のコンディションが悪い人やどうもやる気が出ないという人は、サプリメントでナイアシンをとることをお勧めする。輸入品が1000円前後と安いが、1錠で500mgあり、これは間違いなくナイアシンフラッシュを引き起こす。最初は覚悟を。強烈なナイアシンフラッシュに驚くだろうが、やがて体が慣れ、平気になる。
肌は保証するし、やる気もそこそこに出る。肌ほど劇的ではないが、気がついたら体が動いている感じだ。何はともあれナイアシンフラッシュ、一度、ご体験を。
(取材・文/川口友万)