『とんねるず』が過小評価されすぎてないか? (3/4ページ)
とんねるずのコントはそういった意味では、とんねるずにしかできないものだ。またとんねるずが生み出したコントのスタイルが当時は、あまりにも革新的だった。
漫才ブームが過ぎたあとのお笑い業界にとって、とんねるずのコントは斬新だった。ツッコミとボケが明確に決まっていないコントスタイルだったのだ。
これは、誰々がボケ役でもう1人はツッコミ役でと決まっていた当時の時代には考えられないほど斬新だった。
また、そのコントの設定もカメラ部でありながら体育会系の練習をするコントや、アントニオ猪木風の医者のいる日常の診察風景を見せるというシュールな設定のものなど、石橋が作るコントワールドは秀逸なものばかりだった。また明らかに演劇チックに作り込まれている演出も目を見張るものがある。
「タクシードライバー」というコントでは、考え落ちで怖い話の作りで、多分に演劇的な要素が入っている。「馬場兄弟」「猪木兄弟」はまさにツッコミとボケが混在するコントと言えるだろう。
ただし、演劇風の演出を取り入れながらもしっかりコントの間になっており、またニッチなオタクネタもふんだんに盛り込まれている。
とんねるずのコント作品は、今みてもクオリティーが高い。コントを作る石橋の才能は、お笑い界に激震を与えた。
今では知っている人も少ないと思うが、彼らは10年間ものあいだ、とんねるずのコントと題して単独ライブを行っていた。その単独ライブはテレビ番組では見ることのできない、綿密に作り込まれているコントだった。内容もシリアスなもの、テレビ受けしないような非常に実験的で斬新なネタも数多く、当時のお笑い好きを魅了した。
今はバラエティ番組主体の彼らだが、本業であるコント作りをぜひ見たい。
とんねるずの再評価はそこで成されるのではないだろうか。