吉田豪インタビュー企画:安齋肇「ショックだけど、みうらじゅんから見ると俺は営業友達」(3) (1/3ページ)

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吉田豪インタビュー企画:安齋肇「ショックだった。みうらじゅんから見ると俺は営業友達なんだよ」(3)
吉田豪インタビュー企画:安齋肇「ショックだった。みうらじゅんから見ると俺は営業友達なんだよ」(3)

 プロインタビュアーの吉田豪が注目の人にガチンコ取材を挑むロングインタビュー企画。イラストレーター、アートディレクターにしてソラミミストで、『変態だ』で映画監督デビューを果たした安齋肇さんのインタビューは今回が最終回。安齋さんの長年の盟友みうらじゅんさんの異常なすごさ、『タモリ倶楽部』の収録に間に合わなかった大遅刻の真相などについて語っていただきました!

吉田豪インタビュー企画:安齋肇「自分の映画もいいパンフを作りますから。締切過ぎてますけど」(2)

■“ひとり電通”みうらじゅんの営業力

──サブカルの人たちにいろいろ会って思うのは、みうらさんはすごいってことですよね。

安齋 あの人はすごいよ。

──異常ですよ。

安齋 異常異常!

──ものを考えるレベルというか、ビジネスについて考えるレベルがちょっと違うなって。

安齋 そこに気がつかせないところもすごいじゃん。もともと、じつは俺がテレビに出てるのを観てたみうら君の家の人が「この人と友達になったほうがいいよ」ってみうら君に言ったんだって。それで「友達になってくれませんか?」って来たの。ビックリするじゃん、そんな手口。いままでないでしょ、そういう入り方って。ちょっと気持ち悪いヤツだなって思うじゃん。

──出会いは野沢直子さんの誕生日パーティーだったんですよね。

安齋 そうそう。でも話したら気も合うしおもしろいヤツだから、なんかいいなと思ってて。で、いろいろロックの話で盛り上がって。あの人、ヒップホップとかラップが嫌いだったからさ。

──ふたりでKダブシャインのパロディでラップやってたじゃないですか(笑)。

安齋 ヘヘヘヘ、昔は。いまはスチャダラパーとかとも仲いいけど、「あんなのはロックじゃない」って言っててね。

──そりゃそうですよ。

安齋 ロックじゃないよね、ラップだもんね(笑)。で、「いとうせいこうとかが……」とか言うから。

──disってたんですか? 当時。

安齋 disってたよ。俺、「いとう君はいいんだよ! いとう君はあそこの部分だけじゃなくて編集者としてもすごいし、芸人としてもすっげえおもしろいんだよ」って言ったんだけど、なんかピンときてなかったみたいで。で、しばらくしていとうさんと一緒にヴァギナーズ(みうら、いとう、安齋の3人で結成した女装バンド)やろうって話になったときに、「あれ? みうら君あんなに言ってたのに」と思って。いとうさんに聞いたら、いとうさんのところにも「友達になってください」って言ったんだって。

──またそのパターン(笑)。

安齋 同じパターンじゃんと思って。よく使ってるらしいんだよ。最近なんか『「ない仕事」の作り方』(15年/文藝春秋)って本を出したじゃん。そしたらあの人の営業だったんだよね。ひとり電通だから。全部そうやって仕事を増やしていくための、それこそホントに術中に見事にハマッて。友達だと思ってたんだけど、じつは仕事仲間。すっごい誤解してた(笑)。

──あの本、ボクがみうらさんに飲んで説教されたときの内容がそのまま本になってて驚いたんですよ。

安齋 ああ、やっぱり。

──「おまえもちゃんと営業とかしないとダメだ。俺は『タモリ倶楽部』のスタッフと酒飲んで、こういうことやりたいって営業してる。おまえはやってないだろ!」って。

安齋 だろ? 俺、あれはショックだった。営業だったんだと思って。営業友達なんだよ。

■東京生まれはボーッとしてて野心がない

──それがこれだけ長い付き合いになって。

安齋 しょうがないよね、もう。でも、営業だと思っててもこっちもホステスだから、うまく騙されないと(笑)。

──そういう関係(笑)。

安齋 でも、おもしろいヤツですよ。あんな男いないからね。今回の映画も営業かもしれないし、あの人にしてみればひとつの仕事かもしれないけど、そういう意味では確実におもしろくなるようなところっていうか、みうらじゅんっていう会社が一度入ったらこのレベルまではやりますよっていうところまではちゃんと持っていくんだよね。すごいなって思う。そして、つくづく俺は何もしてないんだなって。

──営業とかも考えないし(笑)。

安齋 営業も考えたことない。営業なんて初めて聞いたよ。やっぱダメだね、東京生まれはボーッとしてるよ。

──困ったときは実家があるし。

安齋 ね、東京に実家があるから、一旗上げなきゃみたいな気持ちもないしね。

──全然ないですよね。

安齋 おもしろいところにいられればいいよね。

──わかります。テレビにもおもしろそうな番組には出てるけど、積極的に出たいわけじゃないですからね。そう言ったら、みうらさんに怒られたんですけど(笑)。

安齋 『ワイドナショー』で松本(人志)さんもすごい微妙なイジり方だったね。

──お互い、探り探りな感じで(笑)。

安齋 おもしろかった。この距離感いいなーと思って。

──テーマがタイミング悪かったんですよね。天皇生前退位と選挙とオリンピックって、ボクが語れないようなことばかりで。もっとエグめの芸能ネタを振ってくれれば、もうちょっとなんとかできたんですけど。

安齋 ホントだよね。今度はぜひやらかしてくださいよ。みうら君みたいに(みうらじゅん、吉田がそれぞれ『ワイドナショー』にゲスト出演している)自分のほうに持ってきて。

──みうらさん、自分の世界に持っていきまくってましたね、テングー(テングとペンギンを組み合わせた、みうらじゅん考案のキャラ)紹介とか(笑)。

安齋 あんなのあり? 馬の交配テレカとか見せたりさ。うまいよな、やっぱり。

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