朝日新聞の誤報に限らず新聞メディアのやらかしについて思う|やまもといちろうコラム (2/2ページ)

デイリーニュースオンライン

■情報氾濫時代をどう生きにくか

 つまりは、実質的な安倍政権・官邸の司令塔である今井尚哉さんが徹底的な『朝日新聞』嫌いであり、文字通り官邸と『朝日新聞』の対立の中で出ている記事であるとも言えます。他の新聞やテレビ局の報道記者もこのニュースポストセブンの記事について「重要な部分はそれなりに事実なのではないでしょうか、ディテールに気になる部分はありますけど」というぐらいですので、まあだいたいその通りなのではないかと思います。

 でも、そういうコンテクストを知って冒頭の『朝日新聞』の記事を読む読者がどれだけいるのか、という話はあります。裏側もある程度理解したうえで新聞記事を読みましょうといっても、普段は真面目に働いたり、日常は育児や介護や趣味に時間を費やしている国民が、そういうことまで知ってからリテラシーを発揮して情報の審議を見極めろと言ってもどだい無理な話です。

 先日の森友問題にせよ今回の北朝鮮問題にせよ、ある種のスピン、状況を動かそうとする情報が山のように報じられている中で、大きな流れとして政治や経済、社会の動きを見据えることのむつかしさを知ってほしいと思います。

 一方、じゃあどうすればいいのかというのはあります。個人的な結論としては、予断を持たずにいろんなことを知っておくのが良いのではないか、すぐに判断せず、大きな流れの中で情報の向きをおおまかに感じ取るしかないんじゃないかと考えています。例えば、一個一個の報道の中でギョッとするような記事や怒りたくなるような情報に接することはあるでしょうが、こういうスピンの情報は時間とともに必ず反対側から反論も含めたカウンターの情報が出てくるようになります。慌てて刺激的な情報に飛びつかず、両側の意見が出るのを待ってから、時間をかけて判断することで、右に左に流されることが避けられるんじゃないかなと感じるわけですね。

 私も産経新聞で連載を持たせていただいていますが、産経新聞にとって不利なことも記事で書くと、やはり産経読者の方に怒られたり嘆かれたりします。でも、産経にも朝日にもその他メディアにも必ずポジションがある以上、必ずどこかで間違うことはあると思うのです。そういう間違いも「産経が書いたから仕方がないのだ」「『朝日新聞』は間違っていないのだ」と自己補正してしまうのではよろしくないと思うんですよね。健全に考え、適切に疑いながら、一個一個の情報すべての正誤は分からずとも総じてどういう流れなのかを分かることが、現代の情報氾濫で波に飲み込まれない秘訣なんじゃないだろうかと思う次第です。

著者プロフィール

やまもといちろうのジャーナル放談

ブロガー/個人投資家

やまもといちろう

慶應義塾大学卒業。会社経営の傍ら、作家、ブロガーとしても活躍。著書に『ネット右翼の矛盾 憂国が招く「亡国」』(宝島社新書)など多数

公式サイト/やまもといちろうBLOG(ブログ)

やまもと氏がホストを務めるオンラインサロン/デイリーニュースオンライン presents 世の中のミカタ総研

「朝日新聞の誤報に限らず新聞メディアのやらかしについて思う|やまもといちろうコラム」のページです。デイリーニュースオンラインは、誤報やまもといちろうマスコミ朝日新聞連載などの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る