愛にも嘘は必要か? 高橋一生インタビュー「嘘」編 (2/4ページ)
きっと、どんどん言えなくなってしまったんでしょうね」
では逆に、もし自分が由加利の立場だったら、桔平の嘘に隠された本当のことを知りたいと思うのだろうか?
「うーん……。なんとなく真実が見えてくればそれでいいと思うので、追求はしません。相手が出してくる真実と、僕が読み取る真実はちがってしまうと思うので」
そして、彼が話すその意図に私は納得させられた。
「他人の携帯のメールを見る行為と一緒で、絶対に白が黒になってしまうと思うんです。相手が本当に白だったとしても、黒の気持ちで見てしまうと『どう考えても黒でしょ』となってしまうし、真実はどこにあるかわからない。ほんの少し見えている嘘がとても嘘くさく感じられたとしても、相手の世界観と自分の世界観は必ずしも同じじゃないと思うので」
どこか冷たいようにも思えるが、相手と自分の見ている世界がちがうことなんてざらにある。恋人同士でさえ、それぞれが別の世界で生きているといってもいいくらい人は孤独な生き物だ。彼の言うように、嘘を追えば追うほど自分本位な考えでそれを黒に変えてしまうのかもしれない。
愛する人の前ではすべてをさらけ出す。けれど嘘もつく現実を冷静に受け止め、相手の嘘を「追求しない」と話す高橋一生。でも「本当は気になりますけれど」と本音を覗かせる。
「気になるけれど、追求はしません。言いたくなったら言うかもしれませんが、変に先入観で固めていくのはちがうと思うので、我慢します」
その「我慢」には、相手を「誤解したくない」「信じたい」という気持ちが見え隠れしているようにも思えた。では、そんな彼は愛する人の前で自分のすべてを見せられるのだろうか? それには、即座に「見せます」という言葉が返ってきた。
「最初から金メッキが剥がれていたほうが楽しいと思うんです。ラクだし、理解してもらえる速度ははやいと思う。で、飽きてくれる速度もはやくなりますし」
飽きてくれる速度? まさか、自分の愛する人に「飽きてほしい」ということなのか。
「情が生まれてしまったら離れづらくなると思うので。そういうものが生まれる前にたくさん出していったほうがいいかと思うんです。