令和は「お金」が変わる時代 元・財務官僚が語る損しないために知るべき基礎知識 (3/5ページ)

新刊JP

――多様な仮想通貨が出てくる可能性についてお話しいただきましたが、そうすると「円」を使わなくなる可能性もあるということでしょうか。

松田:仮想通貨にはいくつか種類があるので、そこからお話しさせてください。

一つは「ペイメントトークン」といって、広く決済に使われる仮想通貨です。「ビットコイン」などはそういうものとしてもみられていますが、価格の変動が大きすぎると決済通貨としては使いにくい。ですから今、大手銀行各社は法定通貨とのレートが固定された仮想通貨を発行しようとしています。1コイン=1円という具合ですね。これが世の中一般で決済に使われるようになるのであれば、ペイメントトークンになります。この点で、円と仮想通貨の関係は維持されるでしょう。

二つめが「ユーティリティトークン」といって、先ほどお話ししたような特定の団体や集団の中で取引される仮想通貨です。現在すでに存在する「ポイント」のようなものをイメージしていただけるとわかりやすいと思います。

三つめが「セキュリティトークン」なのですが、これはそれ自体が金融商品です。電子的な形をとった証券で、価値が変動しますし、保有していれば配当もうけられることになります。これから法改正があって金融商品取引法のもとで、株式ほどではないにせよ、それと似たような規制を受けることが考えられます。

これらのうち、資金調達の主流となって、これからの金融の姿を大きく変える可能性があるのがセキュリティトークンだとすれば、未来社会を大きく変える可能性があるのがユーティリティトークンです。これが特定の価値とひもづくかたちで発行されれば、その価値を価値として認める人々の間で流通することになります。そうした共通の価値のもとに、そこにはお金で結びついたコミュニティが形成されることにもなります。価値としては、金や石油のような実物資産がバックになることも考えられますが、企業が発行する場合は、その企業の時価総額かもしれませんし、宗教団体なら宗教的な価値、芸術家が発行するなら、その芸術家が生み出す芸術的な価値かもしれません。こうしたそれぞれの価値に応じて相互の交換レートが決まっていくことが考えられます。

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