令和で話題の万葉集に「浮気された恋の歌」が。生々しくて共感必至 (3/5ページ)
(古橋信孝・森朝男/2008 『万葉集百歌』青灯社)
1200年くらい前の人も、街中でいちゃつくカップルを見て「リア充爆発しろ!」と思っていたかは定かではないけど、「好きな人が全然振り向いてくれない……。もう死んじゃえばいいのに!」とは思っていたみたい。
実らない恋の苦しさは尋常じゃないからね。いっそのこと、相手の死を願っちゃうのもわかる、かも?
ちなみに古語の「妹(いも)」は、妹のことではなくて女性という意味。当時は親しみを込めて女性をそう呼んでいたそう。
……ってことはあれ? 詠み手はまさかの男性!? 男性の嫉妬も女性に負けず劣らず激しいんだね……。
■忘れ草に込めた、切ない恋心
まだまだ行きます。4首目!
忘れ草垣もしみみに植ゑたれど 醜の醜草なほ恋ひにけり 〈万・12―三〇六二〉
(古橋信孝/2016 『古代の恋愛生活 万葉集の恋歌を読む』吉川弘文館)
醜い草ってなんのこと……? 現代語訳をチェック。
忘れ草を垣にぎっしり植えたけれど だめな草だ やはり恋してしまった
(古橋信孝/2016 『古代の恋愛生活 万葉集の恋歌を読む』吉川弘文館)
失恋には「新しい恋」や「時間薬」が効果的っていうけれど、この詠い手は自宅の垣に「忘れ草」をこれでもか! と植えた模様。
それなのに忘れられず「このダメ草!」と忘れ草をののしる始末(笑)。はたから見ると滑稽だけど、恋している人間って得てしてこんなものだよね。