令和で話題の万葉集に「浮気された恋の歌」が。生々しくて共感必至 (4/5ページ)
ちなみに「忘れ草」は憂いを忘れられるといわれるユリ科の植物 のことで、万葉集ではほかの歌でも詠まれています。その効果は同歌がお伝えする通り……。
■好きな人に浮気されて……
いよいよラスト!
さし焼かむ 小屋の醜屋に かき棄てむ 破薦を敷きて うち折らむ 醜の醜手を さし交へて 寝らむ君ゆゑ あかねさす 昼はしみらに ぬばたまの 夜はすがらに この床の ひしと鳴るまで 嘆きつるかも (巻十三・三二七〇)
(古橋信孝・森朝男/2008 『万葉集百歌』青灯社)
なんだか波乱の予感がするような……? 現代語訳はいかに!?
焼き払ってしまいたい汚い小屋で、棄ててしまいたい破れた薦を敷いて、へし折ってしまいたい醜い手を交わし合って、寝ているあなた故に、〈あかねさす〉昼は一日中、〈ぬばたまの〉夜は一晩中、この床がみしみし音を立てるまで、嘆いたことだ。
(古橋信孝・森朝男/2008 『万葉集百歌』青灯社)
「元気があればなんでもできる」のが猪木だけど、「嫉妬心があれば家さえ焼ける」と詠っているのがこちらの歌。
好きな相手が別の人に会いに行ってしまい、2人が寝ている様子をリアルに思い浮かべては「2人がいる小屋を焼きたい!」「寝床の敷物を捨てたい!」「交えている腕をへし折りたい!」と嘆いているようです。ずいぶん激しい歌だけど、共感してしまう女性は多いはず……だよね(笑)?
切ないのが、この後に添えられた短い歌。荒ぶる気持ちをなだめるように「自分の心を焼くのも、あなたを恋しく思うのも自分の心のせい」と詠っている。
詠み手、いい女すぎるだろ(女かわからないけど) !
本当は浮気する男性のほうが120%悪いのに、ついつい自分を責めてしまう。女性の感情をかき乱す負のループ、そろそろ断ち切りたいよね。