7月1日相続法改正、知っておきたい「名義変更」のすべて (2/3ページ)

日刊大衆

『いまからはじめる相続対策』(日本実業出版社)の著者(共著)で、広尾麻布相続センター代表の税理士・中島典子氏が言う。

「以前たまたま作った口座など、ご本人もずっと使わず把握できていない口座があるというのも現実です 書き出してもらうのも一手ですが、まずはお元気なうちに、複数ある口座を整理してもらってはどうでしょう。最近はネット銀行(証券)も要チェック。ご自身が被相続人になる場合も、相続人のことを考えて、同じく口座の整理から始めてみてください」

 もう一つの大きな改正点は《遺留分が金銭で解決できるようになった》こと。遺留分とは、相続人が最低限保障される取り分と考えていただきたい。よくあるケースで説明しよう。

 零細企業を経営する父親が、長男に評価額8000万円の工場兼自宅を譲り、次男には預貯金のすべて2000万円を相続させる遺言書を書いたとしよう。相続人が子ども2人の場合、次男は最低限全遺産の4分の1である2500万円をもらえる権利があるものの、遺言によって父からの遺産は2000万円しか受け取れない。つまり、500万円分損してしまうのだ。今回の改正で、次男は、その不足分500万円の支払いを、長男に金銭で求められるようになった。

 しかし、工場兼自宅を相続した長男に蓄えがないと、工場兼自宅を売って現金に換え、弟に遺留分の不足を金銭で支払わなくてはならない。大損するどころか、そもそも工場を売ったのでは家業が成り立たない。

 せっかくの遺言も、そうなってしまったら逆効果。では、どうすればいいのか。

「長男が裁判所に申し立てれば、一定期間、支払いの猶予を受けることができます。その他、生命保険の非課税枠を使い、このトラブルを回避する方法があります」(前出の柴崎氏)

 生命保険の保険金には、相続人1名に対して500万円の非課税枠がある。つまり、父親が長男を受取人に死亡保険金500万円の保険に入っておくと、長男は丸ごと受け取った保険金で弟に遺留分を支払い、工場の売却という最悪の事態を回避できるわけだ。

 また、《介護してくれた嫁に特別寄与料を残せるようになった》のもポイント。妻に先立たれた夫が、長男の嫁にさんざん介護で世話になったとしよう。

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