ライオン・キングのような「動物の王」って本当にいるの? ライオンの生態について飼育員さんに聞いてみた! (2/5ページ)
そもそもライオンはサバンナで最も強い動物なのでしょうか?
大賀さん 生態ピラミッドの上位捕食者に位置し、強いほうであることは確かですが、必ずしもNo.1というわけではありません。
1対1の成獣同士の戦いであると仮定すると、例えばアフリカゾウにはかなわないでしょう。また、ライオンが単独であるならば、たとえ自分より体が小さい動物であっても、ハイエナやリカオンなどの群れにはかないません。
――『ライオン・キング』では、王位は親子で継ぐという形になっていますが、実際のライオンの群れのリーダーはどのように決まるのでしょうか?
大賀さん ライオンの群れは「プライド」と呼ばれます。このプライドは、母親、姉妹など血縁関係が近い10頭前後のメスライオンのグループと、1~2頭の兄弟のオスライオンのグループで構成されています。このオスのグループがリーダーになります。
リーダーの子供がそのままリーダーになることはなく、オスの子供は2歳半から3歳になると、リーダーに群れを追い出されます。
群れを離れたオスは、放浪オスとなり、別のプライドのリーダーに戦いを挑み、 戦いに勝てばそのプライドを乗っ取り、新たなリーダーになります。その他、リーダーが不在のプライドに受け入れてもらう場合もあります。
――リーダーの子がそのままリーダーになることはないのですね。映画では、世襲制を不公平だと考えた王の弟の策略によって、主人公のシンバは殺されそうになりますが、リーダー争いで殺し合うことはありますか?
大賀さん リーダー争いで命を落とすこともあり、敗れたオスは生き延びたとしても群れを出ます。