どんな美女にもまさる姫君!「源氏物語」ヒロインで極度のコミュ障・末摘花の恋愛エピソード【二】 (2/5ページ)
「いよぅ光(ひかる)っ!」
彼こそは都において光源氏と並び称されるプレイボーイにして光源氏の義兄(※4)でもある頭中将(とうのちゅうじょう)。基本的にチャラいけれど、とてもいいヤツです。
「……何だ、中将か……」
恋愛談議に花を咲かせる光源氏&頭中将たち。土佐光元「源氏物語図 帚木」安土桃山時代
「何だとは何だよ~(笑)ところで光お前、最近お熱な姫君と上手く行ってないみたいだなぁ?」
「……君には関係ないだろう……」
「お、その顔は図星だな?……ふふん、お前は昔っから手が早いようでいて、案外ウブだからな……常陸宮のやんごとなき姫君のお相手は、ちょっと荷が重すぎたかな?」
「む、そんな事あるもんか……」
「じゃあ競争だ。どっちが先に姫君をオトせるか、勝負しようぜ!」
……という訳で、命婦の両手には光源氏と頭中将という当世二大プレイボーイからの恋文が握られていました。
都の女性たちに知られたら、呪い殺されてもおかしくない奇跡的な事態に、命婦は短期決戦を挑みます。
(なまじズルズルと引き延ばせば、すぐ姫君のボロが出て「虻蜂取らず」になってしまう。こうなったら二人の競争を煽るだけ煽って、姫君の価値を最大限に吊り上げて勝負を決めよう……!)
さて、命婦の作戦は上手くいくのでしょうか。