どんな美女にもまさる姫君!「源氏物語」ヒロインで極度のコミュ障・末摘花の恋愛エピソード【二】 (3/5ページ)
最後のチャンス
「何か、やっぱりちょっと違うんだよなぁ……」
さて、頭中将との競争によって常陸宮の姫君への情熱が再燃した光源氏でしたが、その表情は今一つパッとしませんでした。
思えばこれまで、多くの魅力的な女性たちと恋愛ゲームの駆け引きに興じ、ライバルたちと渡り合ってきた光源氏は、真にその女性が好きと言うより、口説き落としたことによる「ステイタス」を競い合う事に熱中していました。
そんな虚しさに疲れてしまった光源氏を優しく癒やし、心から一人の女性を愛する喜びを教えてくれたのが、名前も知らず(※5)、ステイタスとは無縁だった夕顔の君。
その夕顔を失った悲しみを紛らわすべく、薄幸の姫君をお救いしようと奮い立ってはみたものの、気づけばいつもの恋愛ゲーム……。
「やっぱりもういいや。飽きて来ちゃった。あの姫君は、頭中将に譲ろうっと」
もう身を引こう……そう思った光源氏に、大輔の命婦がやって来ます。
「どうか今宵、姫君をお訪ねあそばせ……!」
思えば、初めて噂を耳にしてから約半年もの月日が流れており、やはりこのまま何もなかったでは、流石にやり切れません。
「……わかった。これで最後だからね」
たとえ我がものにならずとも、姫君の顔くらいは一目拝みたい。せめて声なりとも聴かせて欲しい……そんな想いで、光源氏は姫君の屋敷を訪ねました。
光源氏の衝撃「……などかつららの結ぼほるらむ」……そして「お楽しみ」の翌朝。