土地売買のトラブルか…世田谷一家殺害事件14年目の真相(前編)

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警視庁作成のポスターより
警視庁作成のポスターより

「いまだ解決に至っておらず申し訳ないと思う。ささいな情報でも寄せて頂きたい」

 12月21日、現場近くの小田急線成城学園前駅で報道陣にこう語ったのは、警視庁の青木樹哉捜査1課長である。この日、情報提供を呼びかけるチラシを捜査員とともに配っていたのだ。

 2010年4月に公訴時効が廃止されたことで、世田谷一家4人殺害事件(以下・世田谷事件)も「時効撤廃」が適用され、犯人が逮捕されない限り永遠に捜査が継続されることになる。前述の青木捜査1課長のコメントは現場の悲痛な叫びにも聞こえなくはないが、14年が経過した今もなぜ事件は解決しないのだろうか。

事件の背後に外交、政治家、宗教は3大要素が

 2000年12月30日午後11時ごろ~翌31日未明にかけて事件は発生した。

 外資系コンサルタント会社に勤務する宮澤みきおさん(当時44歳)宅に何者かが侵入し、宮澤さん一家4人を殺害。31日午前中に隣家に住む妻・泰子さん(同41歳)の母親が4人の遺体を発見した。

 みきおさんは首など十数ヵ所を刺され、自宅の階段の下でうつ伏せに倒れて死んでいた。泰子さんと長女・にいなちゃん(同8歳)は2階の階段近くで首や顔などを刺され、長男・礼君(同6歳)は3階のベッドの上で死んでいた。礼君は首を絞められたことによる窒息死だった。泰子さんはひときわ残忍な方法で殺害されており、遺体の一部には明らかに死後に刺された痕跡が残されていた。

 犯人は犯行後に冷蔵庫から取り出したアイスクリームを食べ、みきおさんのパソコンを使用し長時間にわたりインターネットに接続していくつかのホームページにアクセスするという謎の行動もとっている。

 犯行現場には韓国製のスニーカー「スラセンジャー」の足跡や衣服、犯人の血痕など数多くの証拠が残されていたことから、警察は当初「逮捕に時間は掛からない」と確信。残忍すぎるその手口から動機を「怨恨による殺人」とし、犯人を「異常性格者」「外国人組織犯罪」などをターゲットに捜査を行ない、アジア系犯罪組織、韓国系の軍隊経験者、日本人の若者、宗教団体などが犯人像として浮上しては消えていった。

 犯人の遺留品の数々が現場に残されていながら、犯人逮捕に結びつかない原因を「警察の初動捜査のミス」に求める指摘もある。

「初動捜査のミスではなかったし、犯人が警察を陵駕するほどの知能犯だということもない」(捜査状況に詳しい元公安幹部)

 警察の問題ではないとすれば、事件発生から14年が経過し、前代未聞の殺人事件が迷宮化の様相を呈しつつしある要因ははたしてどこにあるというのか。

「未解決事件には2つある。1つは捜査が及ばずどうしても犯人の特定や逮捕ができない場合。そしてもう1つが何らかの事情で未解決事件となってしまうケース」

“何らかの事情”とはいかなる事情なのか。

「外交、政治家、宗教は3大要素と断言できる」

 世田谷事件にも外交、政治家、宗教といった“何らかの事情”が絡んでいるというのか。

立ち退き問題で都から代金が振り込まれていた

 筆者はある情報を人物から情報を入手した。この情報は世田谷事件の実行犯の正体に繋がる可能性が高い証言だと考えている。

 某組織に所属していた人物(A氏としておく)が、2001年1月初旬、都内で開かれたある会合に出席していた。この会合には暴力団幹部を中心とする闇経済従事者、闇金融業者などが出席していたという。

 A氏は都内で数店舗を経営する某闇金業者と関東の某広域暴力団幹部の会話を耳にした。

「やっと終わったよ。あれもとっぽい奴でよ。やっと3000万回収できたよ」

 最初はよくある貸付けの回収話だと思ってA氏は聞き流していたらしい。

「しょうがねえよな。“東京都が年末に土地をどうたらこうたらで。カネが作れます”なんて言っといてよ。“実はできませんでした”とか言い出しやがって。調べたらきっちりカネ入ってんのよ。しゃねえから、あっち使ってよ……」

 宮澤さん一家が世田谷区上祖師谷の土地・建物を購入したのは1990年5月。東京都が宮澤さん宅のすぐ横にある「祖師谷公園」の拡張工事を決定した1998年以降、近隣一帯は拡張工事の対象区域となった。そして立ち退きを求めて東京都が買収を開始していた時期だ。

 宮澤さん宅も立ち退き対象区域であり、宮澤さんが東京都の立ち退き要請に応じたのが事件発生の9カ月前にあたる2000年3月。そして、事件の1ヵ月前ごろには「良い条件で売却も決まり、新たな引っ越し先も決まっていた」(近隣住民)という。さらに、事件を取材したルポライター氏はこう証言する。

「みきおさんの父親によれば、お金は東京都が銀行振り込みで売却代金の8割を振り込んだようです。残りの2割は引っ越しなどが終わってから振り込まれるという話だったようです」

 これらの証言を総合すれば、事件が起きた12月の段階で、東京都から土地売買の代金が、それも数千万円もの金額が振り込まれていたことになる。この事情を理解したうえで、A氏が耳にした会話を改めて読んで頂きたい。

 年末、都、土地、金──

 この会話に含まれるいくつかのキーワードが世田谷事件と密接にリンクしている事実は偶然だろうか。当時の闇経済に詳しい人物は証言する。

「宮澤さんも会社とは別に自分でも何かやっていたと聞いたことがある。ちょっと危ない筋や個人投資家との金銭トラブルに巻き込まれた可能性も考えられる」(後編に続く)

(取材・文/中村透)

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