日本の保育事情に異変!?わいせつ事件続出で男性保育士「オムツ交換させてもらえない」と偏見の目

デイリーニュースオンライン

保育士の2.5%が男性だ(写真はイメージです)
保育士の2.5%が男性だ(写真はイメージです)

 6月7日、宮崎市で保育士の男(31)が強制わいせつと児童買春・児童ポルノ禁止法違反(製造)の疑いで再逮捕された。

 男は5月にネット上で児童ポルノを提供したとして逮捕されていたが、再逮捕の容疑は2014年8月に勤務先の公立保育所で就寝中の女児(当時5)の下半身を触り、その様子をスマートフォンで撮影した疑い。男も容疑を認めている。

 子供を守るべき立場の保育士が「ロリコン」だったという事実に衝撃を受けた人は多い。かねてから一部では「男性保育士は危険」という偏見があったが、その流れが加速しそうな気配もある。その一方、真面目に働いている男性保育士が偏見にさらされ、いわれのない差別を受けている現状もあり、難しい問題となっている。

「男の保育士は信用できない」という意見も

 数は多くないものの、男性保育士による女児を狙った事件は実際に度々起きている。

 昨年、福島県郡山市で保育施設を経営する男(当時37)が預かっていた女児を連れだし、ホームセンターのトイレでわいせつな行為をした疑いで逮捕された。女児の保護者から「子供がいたずらをされたようだ」と警察に相談があったことで発覚し、男は「身体を触った」と容疑を認めている。

 2013年には横浜市南区の元保育士の男(当時36)が勤務していた保育園の女児の下半身を触ったとして逮捕。男は7年にわたって保育園に勤めていたが、別の女児が「先生が体に触る」と母親に訴えたことから事件が発覚した。同年は他にも複数の事件が起きており、札幌市の20代の保育士の男が、勤務先の保育園で昼寝中の女児の下着を脱がし、カメラで撮影したとして逮捕。同2月にも静岡県浜松市の保育士の男(当時22)が勤務先の児童養護施設で5歳女児の身体に触ったとして逮捕された。いずれも容疑を認めている。

 また、2010年には佐賀県の元保育士の男(当時32)が、勤務していた私立保育園の女児にわいせつな行為をしたうえでカメラで撮影していたとして逮捕された。その前年に長女のわいせつ画像をネット販売していた名古屋市の夫婦が逮捕され、その購入客と児童ポルノ画像の交換をしていたことで元保育士の男が浮上。男のパソコンには複数の園児の下着や着替え姿、昼寝中に下腹部を撮影した画像データが数十枚あり、それが犯行の発覚につながった。

 どれも「保育士による犯行」というインパクトが強烈でテレビでも繰り返し報じられるため、どうしても悪いイメージが強まる。今回の宮崎市の事件についても、ママ向け掲示板サイトなどで以下のような意見が飛び交っている。

「やっぱ男の保育士はイヤだ、信用できない」
「男の保育士ひとりにしちゃダメだよ」
「真面目に働いてる男の保育士さんもいるんだろうけど見分けつかないからね」
「やっぱり男はダメだね」
「男の保育士がいる園は絶対に避けます」

 偏見に基づく意見が多いようだが、子供を預ける母親として不安な気持ちも偽らざるところのようだ。

オムツ交換はダメ…偏見にさらされる男性保育士

 この風潮によって理不尽な視線にさらされている男性保育士たちもいる。保護者や同僚が「男の保育士」に偏見を持っていることによって働きづらい環境になっているという。

 ある男性保育士(20代)は「保護者からの要望で女児のオムツ交換をしないようにと指示があった」と明かした。もちろん彼はロリコンではなく、園長から勤務態度を褒められるほど真面目に働いている。だがそれでも「男だから」という理由で保護者から警戒されてしまう。ほかにもトイレの世話やおもらし後のシャワーなど「密室」になる状況は保護者に嫌がられ、女性保育士が代わりに担当するケースがあるという。

 また、職場環境も整備が進んでいない。男性用の更衣室やトイレがない園が少なからずあり、空いている部屋で着替えを済ませたり、公共トイレを利用するなど不便を強いられている男性保育士は多い。もし逆に女性用トイレや更衣室がなければ差別問題になるだろう。前述の「男だから」という理由による保護者の偏見もしかり。この状況についてネット上では「立派なセクハラ」「女尊男卑」という声もある。

 かつては「保母さん」と呼ばれ、女性専門の職業だったことが尾を引いているのだろう。近年は男性保育士が増加しているが、2010年の調査で全国に約1万2000人。保育士全体の48万1500人のうち約2.5%に過ぎない。

 今後のためにも不当な偏見を打ち壊していかなければいけないのだが、女性の職業差別に比べると光が当たりづらく、例えごく一部であろうとも男性保育士の中から悪質な犯罪者が出ることで余計に風当たりが強まってしまう。そんな男性保育士の窮状がある一方で、子供が性犯罪に巻き込まれるリスクを少しでも減らしたい親の気持ちも分からなくはない。

 昨今は保育士不足が深刻化しており、保育業界への男性進出は必要だ。だが保護者の感情や整備されていない労働環境など男性保育士をめぐる様々な問題は置き去りにされており、これを解決していかなければ本格的な進出は難しいだろう。

(取材・文/佐藤勇馬)

「日本の保育事情に異変!?わいせつ事件続出で男性保育士「オムツ交換させてもらえない」と偏見の目」のページです。デイリーニュースオンラインは、社会犯罪警察社会などの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る

人気キーワード一覧