吉田豪インタビュー企画:作詞家・及川眠子「エヴァンゲリオン主題歌は通りすがりでもらった仕事」(2) (1/3ページ)
日本最強のプロインタビュアー吉田豪が注目の人にじっくり話を聞くロングインタビューコーナー。作詞家の及川眠子さんがゲストの第2回目となる今回はWinkの思い出、『エヴァンゲリオン』主題歌の裏話、ゴールデンボンバーへの高評価の理由、自身の音楽的ルーツなどを聞いた!
吉田豪インタビュー企画:作詞家・及川眠子「たかじんはワガママで気が弱いオッサンですよ(笑)」(1)
Winkは音楽性も変わっていた
──Winkは大好きでいまだによく聴いてるんですけど、カヴァーのセンスがあきらかにどうかしてたじゃないですか。あれはディレクターの水橋春夫さんのセンスで。
及川 水橋さんのセンスですね。あの人やっぱり変わってる人なんで。今年、水橋さんが49年ぶりにアルバム『考える人』を出して。
──及川さんが歌詞を担当して。
及川 そう。で、水橋さんが曲を書いてるんですけど、やっぱり変なんですよ。「え、なんでこういう構成になるの?」とか。メロディとかサウンドでも、ギターと弦のぶつけ方とか、やっぱり変で。「売れるものって、やっぱりどっか変なものじゃなきゃダメだと思う」って、これは彼の理論で。その前は横浜銀蝿を売ってたのもそうだし、「変でしょ?」って言うから、「たしかにWinkは変だよね」って。
──無表情な女の子ふたりがまったく似合わないダンサブルな曲を踊り、アルバムにはさらにマニアックなカヴァーが入るという。
及川 そうそうそう。一応アイドルなんですよ。当時はFMってすごい気位が高かったから、アイドルの曲なんてかけなかったらしいんですね。それがWinkだけはかけたっていう。
──洋楽扱いみたいな感じで。
及川 そう(笑)。
──デビューからルベッツ『Sugar Baby Love』のカヴァーでしたからね。さすがにジャックスの水橋さんですよ。
及川 ジャックスの人ですよ。ジャックスには1年ぐらいしかいなかったんですけどね。
──Winkはジャックスのカヴァーもやってて、それが原曲超えしているレベルで最高なんですよね。
及川 『時計をとめて』。あれ水橋さんの詞曲ですよね。
──ジャックス=早川義夫ってイメージですけど、水橋さんでもあるんだなって。
及川 うん。あんなノイジーなギターはなかなか弾けないっていう(笑)。
──Winkのあの方向性の裏にジャックスがいたっていうのがちゃんと伝わってない感じが。
及川 ああ、しますね。正統派アイドルじゃなかったですよね、なんか変な感じ。それがあれだけ売れたんですよ。いまだに好きって人は多いですね。
──あのふたりの人生が対照的なのもおもしろいですけどね。さっちん(鈴木早智子)が本当にしんどい人生を送るじゃないですか。何度か取材したんですけど、「ここは触れないでください」みたいな話ばっかりなんですよ。
及川 ピュアなんですよ。すごくピュアなんだけど、剥き身で生きてる感じなんですよ。
──さっちんは、当時付き合ってた彼氏のために芸能人AVみたいなものに出たりしてたわけですけど、ピュアだからこそ騙されやすくもあるんだろうなって。
及川 言ってみれば痛い子ですよね、剥き身の子だから。
──相田(翔子)さんがかなりいい感じの人生を送ってるから、余計に際立っちゃってて。
及川 そうそう、あの子は柳の木みたいにヘナヘナしながら強いんですよ。
──その結果、お医者さんと結婚とかすごいピンポイントでいいとこいって。
及川 そう、相澤(英之、元衆議院議員)さんの息子さんと。ご主人いい方ですよ、こないだ初めてお会いしたんですけど。