70代貧困老人の年金生活…食費月5000円で野宿する人も (2/2ページ)

デイリーニュースオンライン

 月収にして毎月7万円から8万円稼げればいいほうだ。月によっては5万円ということもある。

「生活保護も考えたけどいろいろ役所から制約がある。だから保護は受けへんようにしてるんや。それでももうちょっと国も考えて欲しいわな。高齢者に働きやすい雇用を創出するとか」(同)

 しかし吉田さんのように働ける体力があり家賃分の年金を貰っている人はまだマシだ。西成の住民のなかには無年金の者もいる。生活保護受給をせず、その日暮らしの高齢者も少なくない。

75歳無年金、簡易宿泊所か公園で野宿の日々

 納幸次郎さん(仮名・75)もそんな無年金の高齢者のひとりだ。週に何度かの日雇いで6000円程度の日給を稼ぎ、1泊1000円から1300円程度の簡易宿泊所に寝泊りする。カネがなければアオカンと呼ばれる野宿を余儀なくされる。残ったカネは酒とバクチに消える。手元にカネは持たない主義だ。

 そんな納さんにとって先月の新幹線放火事件はどう映っているのか。

「人生の最後、一花咲かせたかったんかな。新幹線なんか乗るカネなんか俺は持っとらんし。西成で同じことしてみ。誰も見向きもせん。でも新幹線やったら話は違うわな。あんなことしても国は何も考えてはくれん。死んだ人は可哀想やけど」

 厚生労働省関係者は低所得の高齢年金生活者について次のように語る。

「何らかの施設に収容するにしても財源の問題もある。また低額年金者や無年金者は、こうした施設を避ける傾向もある。全ては自己責任という言葉ではもう片付けられない」

 今回の新幹線放火事件で露呈した高齢年金生活者の貧困問題は、まさに待ったなしの現状だ。国と地方自治体は早急に手を打たなければ、また第2、第3の他人を巻き添えにした同様の事件が起こるかもしれない。

(取材・文/川村洋)

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