ボカロブーム終了で初音ミクがオワコン化?「再生数50万以上」わずか2曲に

デイリーニュースオンライン

「VOCALOID4 Library Sachiko」公式HPより
「VOCALOID4 Library Sachiko」公式HPより

 演歌歌手・小林幸子の「ボーカロイド化」が話題になっている。「VOCALOID4 Library Sachiko」としてリリースされ、こぶしのきいた声も表現できるプラグインも付属している充実の内容だ。

 この話題はネットやメディアを騒がせたが、その一方でボーカロイド自体の盛り上がりは下火になっている。一部では「オワコン」とも評されるほどだが、ボーカロイド人気は本当に終わってしまったのだろうか。

50万回再生がわずか「2曲」の寂しい現状

 2007年に発売された「VOCALOID2 初音ミク」をきっかけに巻き起こったボカロブーム。かつては「ニコニコ動画」の再生数ランキングを席巻し、そこから生まれたヒット曲が有名歌手を押しのけてオリコンチャートやカラオケチャートにランクインしていた。

「ニコ動」のヒットの目安とされる再生数50万回を達成した曲は、2011年の投稿曲で68曲、2012年に77曲と圧倒的な強さをみせていた。ところが2013年は39曲と激減し、昨年は25曲前後にまで低下。今年に至っては7月24日時点で50万超えが2曲ほどしかない状況である。

 一部では「ニコ動」の人気が落ちて再生数が全体的に下落しているとの指摘もあったが、同サイトの再生数は決して下がっておらず、むしろ緩やかであるものの近年は増加傾向。その中でボーカロイドの勢いだけがハッキリと縮小していることになる。

 その凋落ぶりを印象付ける出来事もあった。

 7月11日に大阪・ひらかたパークで「弱虫ペダル GRANDE ROAD Go round in ひらかたパーク」と「つくってひろがる!『初音ミク』と『みんな』の世界」の両イベントが同時にスタートしたのだが、現地を訪れたネットユーザーがその人気の違いに驚愕。「弱虫ペダルは1000人以上並んでるけどミクの列は5人しかいない」などといった報告が相次ぐ事態になった。

 初音ミクの人気がブームを支えている側面があったが、少なくともキャラクター消費の観点では「オワコン化」を認めざるを得ない状況になっているようだ。

当事者たちも感じるブームの終焉

 ブームの陰りは「ボカロP」と呼ばれるボーカロイド曲の投稿者や、かつてボーカロイド曲を熱心に聴いていたファンなど当事者たちも肌で感じているようだ。

 ネットでは『メルト』『ワールドイズマイン』など大ヒット曲が連発されていた07~09年ごろを指して「ボカロ全盛期」という言葉が当事者たちの口から出ることが増えている。それは現状が「ブーム終了後」であることを意味し、ネット上では「ミクはオワコン」が定説化しつつある。

 ここ最近はボーカロイド曲『桜ノ雨』『脳漿炸裂ガール』が相次いで小説化・映画化されるという明るい話題もあった。だが『桜ノ雨』は07年、もう一方の『脳漿炸裂ガール』は2012年の曲であり、現在のボーカロイド人気を象徴するようなものではない。

 ブーム終了は疑いようがないようだが、その一方で「ニコ動」におけるボーカロイド曲の投稿数はさほど落ちていない。自作の曲を発表したい人々にとっては今でもボーカロイドは優れたツールであり、リスナーとの温度差こそあれ、それほど「ボカロ離れ」は強まっていないのだろう。

 であれば、今後もヒット曲の誕生で盛り返す可能性はある。ブームはいつか終わるが、スタンダードになれば生き残りが見えてくる。言い換えれば、利用者たちがボーカロイドから離れた時こそ、本当の「ボカロの終局」が訪れるともいえる。それを食い止めることができるのかどうかはメーカーの腕の見せどころだ。

 マニアックな趣味だったDTM(デスクトップミュージック)を一躍メジャーに押し上げたボーカロイドだが、ブームの沈静化によって大きな分岐点に差し掛かっているといるようだ。

(文/夢野京太郎)

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