系統の異なる種の生物が同じような環境に適応した結果、身体的特徴が似通った形状や姿に進化する現象を収斂進化という。この現象は進化の一貫性を示すものとして、その概要解明のヒントとなっている。
ここでは驚くべき収斂進化(収束進化)10の例を見ていこう。
■ 10. 人間とイカの目
人間とイカがほとんど共通点のない生息環境で進化を遂げたことはあらゆる点からも明らかだ。人間は陸上に適応し、イカは水中の大圧力と冷たい気温に適応してきた。それなのに奇妙なことだが、人間の目とイカの目は生物学的にほぼ同一のものだ。
これはPax6という同じ遺伝子が同じように変化したことが原因だ。我々の祖先において、この遺伝子は単純な目の形成を促し、原始的な多細胞生物は闇の中で光を感知できるようになった。この遺伝子は種が多様化する以前から存在していたため、ほぼすべての生物に様々に変異した形でではあるが現存する。
イカなどの頭側動物は我々人間とまったく異なる状況で同じ”カメラ型目”を進化させた。この収斂進化の事例は特に生物学者の関心を引く。なぜなら両者の共通の祖先を特定するには、Pax6の原始バージョンしかなかった5億年以上前の時代まで遡らなくてはならないからだ。
■ 9. 粘菌と水生菌
表面上はどちらの菌も似たようなものだ。だが粘菌と水生菌はまったく別の種である。それなのに区別が難しい理由は収斂進化だ。一般に思い浮かべられるのは、岩や木の表面に潜む陸上の粘菌だ。