疾きこと風の如く……侵掠すること火の如く……武田信玄(たけだ しんげん)の愛好した『孫子』兵法の一節ですが、風のような機動力と火のような攻撃力は、甲州・信州に産する駿馬によって支えられました。
整然と槍先を揃え、猛然と進撃する真紅(赤備)の騎馬軍団。そのカッコよさこそ、現代でも根強く続く武田人気の一因と言えるでしょう。
しかし近年、この武田の騎馬軍団について、馬に乗って戦うスタイルを否定する説が出ているとか。
確かに宣教師の記録には「馬から下りて戦っていた」武士たちも言及されています。馬はあくまで移動(進軍&逃走)の手段に過ぎなかったというのです。
果たして戦国時代の武士たちは、みんながみんな馬から下りて戦っていたのでしょうか?武田に限らず、騎馬武者なんて幻想に過ぎなかったというのでしょうか?
今回はそんな疑問を解消するため、馬に乗って戦うことのメリット・デメリットを考察。皆さんならどう思われるか、考えてみる参考になるかも知れません。
攻撃力は高まる一方、リスクや技術的ハードルもまずは馬に乗って戦うことのメリット・デメリットを挙げてみましょう。
【馬に乗って戦うメリット】
高い位置から攻撃できる(力が入り、威力が増す) 突進力、突破力に優れる(もちろん逃げ足も速い) 敵を威圧できる(もちろん相手の胆力にもよる)【馬に乗って戦うデメリット】
位置が高いため狙い撃ちされやすい(標的にされる) 馬が死ぬと経済的損失が大きい(気軽には代わりを買えない) 馬術(馬を制御しながら戦う)スキルが必須ざっとこんなところでしょうか。メリットは攻撃力の増強、デメリットは討死や経済的なリスク、そして技術面のハードルと言えます。