「近頃『白河の清きに魚住みかねて 元の濁りの田沼恋しき』……なんて詠む輩もいるんですよ」
べらぼう第39回『白河の清きに住みかね身上半減』では、「ふんどし野郎(松平定信/井上裕貴)」に禁句の、“田沼”の名前をぶつけた蔦重。「よく、言った」と拍手を送りたくなるような、けれどドキドキするような「戯け(たわけ)」ぶりでしたね。プライドの高い定信が、このセリフに激怒している様子が、濃い影をまとった後ろ姿からも見てとれました。
定信の悪政に対して怒り心頭の蔦重は、周囲を巻き込みながら、己の信じる道へと暴走。そんな彼に、鶴屋喜右衛門(風間俊介)と妻のてい(橋本愛)は、本気で怒りをぶつけて説教します。
「書を持って世を耕す」から「書を持って世に抗う」ことに決め、あくまでも「忖度した無難な本屋」にはならないと「己の信じる道へと暴走」する蔦重と、そんな彼を心配する周囲の人々。
己の信じる道を突っ走ることで現実が見えなくなり、周囲の人間が本気で諌めにかかるところは、蔦重と定信は似ています。今回は、第39回べらぼうを振り返りつつ、感じ入った場面を振り返りました。