【碧志摩メグ騒動】女性を記号化して追い込むフェミニストの愚行 (7/7ページ)
●『碧志摩メグ』は "フェミニスト" の攻撃対象として相応しかったか?
では最後に、あえて冒頭の 『碧志摩メグ』 の騒動に戻ろう。 現代ではウエットスーツを着込む地域もあるので、あくまで 「昔の」 という注釈が必要だが、海女の胸や脚といった女性の性的な記号を露わにして、または水に濡れて乳房がクッキリと見えるような状態(もしくは上半身裸)になってまで海と戦い糧を得るという、淫靡さと勇ましさの同居した姿は、本来ならば "フェミニスト" が女性の選択肢のひとつであると保護して然るべき対象のように思う。
ところが 『碧志摩メグ』 の騒動では、絵柄に不快感を覚えるといった百歩譲って理解できる指摘以外に、「海女を性的に描くな」 といった論調を選んでしまった "フェミニスト" が少なからずいた。 ついでに言えば 「児童ポルノが!」 と一言でも発した者など論外である。
海女がどういう歴史を辿って来た存在なのか、どういう服装で、どういう手法で海と戦って来たのか、それを全て受け入れてから物を言うべきなのに、上っ面を舐めただけで 「児童ポルノが! 女性の性的搾取が!」 と話をすり替えてしまう。 それは女性の生き方のひとつを隠し、女性の自由を狭めているだけなのではないのだろうか。 何故ならば "フェミニスト" の主張は暗に 「女性は性的な記号(胸や脚など) を隠して生きねばならない」 と言っているも同然だからだ。 それでは安倍政権の中枢にいる 「女への性教育など結婚してからでいい」 と言ってのける女性政治家達と同じ主張ではないか。
またもう一捻りして考えるならば 「女性のこの部分は性的です」 と "フェミニスト" の側から言っている訳で、ではミニスカートなど女性の性的な部分をアピールする洋服を好んで着る女性に対して、"フェミニスト" は何と言うのだろうか。 萌え絵に対して向けた言葉をそのまま向けるならば 「そんな服は着るな=着る方が悪い」 が正しい。 むしろそれ以外の言い方をするならダブルスタンダードになる。 これは果たして "フェミニスト" が口にすべき主張なのだろうか。
考えれば考えるほど、いったい何を目的としている人々なのか意味が解らなくなるばかりだが、"フェミニスト" を名乗るかの人々が何処から来て何を目指しているのか、ぜひ本音を聞いてみたいところだ。 実は女性の権利や保護などどうでもよく、もっと別の価値観を隠しているのではあるまいか。
Written by 荒井禎雄
Photo by (C)MARIBON http://ama-megu.com/より