数億人の未来を変えた!「ノーベル医学生理学賞」受賞の大村智氏とメルク社が行った無償の国際貢献 (2/4ページ)
■ 寄生虫病の治療に貢献した化学物質発見
大村氏は微生物が作り出す化学物質の研究を行っていた。そのため、氏と研究室のメンバーは、常にポリ袋を携帯しており、有望そうな土を見つけると採集していたという。
あるとき、静岡県伊東市のゴルフ場の土から見つけた放線菌が、『エバーメクチン』という化学物質を作り出すことを発見する。
この『エバーメクチン』を、メルク社での共同研究者であったCampbell氏らが動物の寄生虫駆除に役立つ事を確認した。
そこで、分子の形状を少し変えることでより効果を高めた『イベルメクチン』という薬を開発することに成功する。
その効果は絶大だった。『イベルメクチン』は寄生虫の神経信号を乱し、少量を服用させるだけで寄生虫を駆除できたのだ。
これが1981年に発売されると、あっという間に世界一の売上となり、その座は20年間守られた。この『イベルメクチン』の効果によって、畜産業の生産効率が飛躍的に上がったのだ。
ところが、この『イベルメクチン』が、人の寄生虫駆除にも効果があることが分かる。
アフリカや中南米の一部で恐れられていた『河川盲目症』と『象皮症(リンパ系フィラリア症)』いう寄生虫病の治療に役立つ事が分かったのだ。
『河川盲目症』は『ミクロフィラリア』という線虫の幼虫が全身の皮膚の下に広がるという恐ろしい病気で、これが目に達すると失明する。
一方の『象皮症』は寄生虫がリンパ系に影響を与える事で、足がまるで象になったかの様に腫れてしまう病気だ。
しかしこれらの病気の元となる寄生虫は、『イベルメクチン』を年に2回飲むだけで駆除できることが分かった。