消滅する熱帯雨林 「焼畑農法」に悩まされるインドネシア (2/4ページ)
F1グランプリのためにシンガポール入りしたレーサーのジェンソン・バトンも、この煙害に懸念を示していた。開催が中止されたスポーツイベントも少なくない。
当然これが国際問題にならないわけがなく、シンガポール政府は数年も前からインドネシア政府に抗議の声明を発表している。だが、インドネシア側は決定的な解決策を持っていない。あまりに広大なスマトラ島全土に監視の目を行き届かせるのは、不可能である。
焼畑農法は、肥沃な農地を作るのに最も手っ取り早い方法だ。そこにアブラヤシのプランテーションを作るのだが、そもそも熱帯雨林を炎上させるという行為は危険極まりない。
それに野焼きで作った農地が痩せれば、それ以上の手段はない。また森を焼き、新しい農地を作り、そこが痩せれば再び……の繰り返しだ。
焼畑農法の当事者たちは、異口同音に「我々が生きるためにやっている」と語る。だが焼畑農法に代わる手段の研究を怠っている事実は、もはや口先ではごまかせない。
何しろ、スマトラ中部に位置する都市プカンバルは、シンガポール以上の濃い煙に包まれているのだ。
現地市民は、もはや仕事どころではない。学校も休校措置が取られ、航空便も一斉にキャンセルになった。農民が生きるためにやってるはずの農法は、都市部の市民を大いに苦しめている。
■ 住処を失くした動物たち

source:https://pixta.jp/
苦悩しているのは人間だけではない。スマトラの熱帯雨林には、多くの希少動物が棲んでいる。
ここにはスマトラゾウ、スマトラサイ、スマトラタイガー、オランウータンなどが生息している。だがあと10年もすれば、これらの動物は動物園の中でしか見られなくなるかもしれない。
無計画な焼畑農法は、今この時も動物たちの住処を奪っている。火攻めで行き場を失ったオランウータンが、ついに人間の住宅地に現れたというニュースもある。