【東日本大震災】大川小学校の"悲劇"は現地視察で明らかになるか (2/5ページ)

東京ブレイキングニュース

 大川小の「地震(津波)発生時の危機管理マニュアル」(当時)によると、地震が発生した場合は、まずは安全確保、安全確認、被害状況の把握につとめ、さらに保護者へ連絡をする。その震度が6弱以上を観測した場合は、原則として保護者に引き渡しとすることが決まっている。そして、

 第一次避難【校庭等へ】

 安全確認・避難誘導

 (火災・津波・土砂くずれ・ガス爆発等で校庭等が危険な時)

 第二次避難

 【近隣の空き地・公園等】

 安全確認

 となっている。検討された「近隣の空き地・公園等」の中に、「裏山」はあったと思われるが、なぜ、「裏山」の選択肢を取らなかったのかのは市教委の事故報告書ではわかっていない。

 また、その後に文科省の主導で設置された第三者の検証委員会の報告書では、裏山への避難について「比較的早い段階から提案として出されていたものの、避難先としての安全性が十分に確保できないとの判断が下され、その時点では津波に対する危機感を強く感じていないこともあいまって、山への避難は行わないという意思決定がなされたものと考えられる」としている。ただし、児童が「山さ、逃げっぺ」などと言っていたことは記されていない。

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 原告側はこの数日前から準備をしていた。校舎のほかの建物や道がどこにあったのかをテープで貼り、位置関係を再現していた。また「津波到達地点」との目印となる看板を作成していた。また、視察のポイントとなる地点では、震災前の様子がわかる写真を置いて説明した。その説明に使った木製の台も遺族が作成した。

 震災当日は地震発生後、雪が降っていた。風も強かった。しかし視察当日は晴れで、風は弱かった。そのため、気象条件が違っている。また震災当日は、大川小の校舎のほか、周辺には公民館や家々があったが、現在は、校舎のみしかない。そのため、視界の条件も違う。そのため、被告の市側は視察前に提出した準備書面で、「校舎2階からは川の水面は見えなかったことをご確認いただきたい」などと、条件が違い、当日の風景と違うことを強調していた。

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