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安倍首相は北朝鮮に「体制変更を強いる」と言っていた

安倍晋三首相は7日午前、北朝鮮が事実上の弾道ミサイルを発射したのを受け、首相官邸で国家安全保障会議(NSC)を開いて対応を協議。国連安全保障理事会での北朝鮮への制裁決議案の採択に向けた調整を急ぐと共に、日本独自の制裁についても準備を指示したという。

しかし果たして、北朝鮮に対してどのような制裁が有効なのだろうか。1月の核実験直後にも、安保理がすぐにも過去最強の制裁決議を下すかのような報道が目立った。しかし米国と中露の意見が合わず、強い制裁を「やる」「やらない」ですったもんだしていたところに、今回のミサイル発射である。これではまるで、国連安保理の方が北朝鮮に狙い打ちされているように見える。

そもそも米国や日本などは、北朝鮮が残忍な独裁体制であるという前提を忘れがちではないか。

経済制裁に苦しむ中で民意が体制から離反し、あるいは国際社会への復帰を求めて政府への反発が強まるのは、それなりに民主主義システムを備えたイランのような国であればこそだ。国民が反発を表す前から捕まえて処刑してしまう北朝鮮のような国で、そんな現象は起こりようがない。

それに、日本は仮に北朝鮮が核開発を放棄した場合、何かを見返りに与える気があるのだろうか。とくに日本は拉致問題が解決されない限り、北朝鮮への経済的支援など不可能だろう。米国に対しても、対北支援を思いとどまるよう強く求めるはずだ。

核開発に続き拉致問題も解決したとして、人権問題はどうするのだろうか。金正恩氏の「核の暴走」が加速する裏には、国際社会からの人権問題の追及がある。

果たして、北朝鮮の暴走を止める上で、「レジーム・チェンジ(体制変更)」以外にその方法があるのだろうか。

安倍は首相になる前、「金正日政権のレジーム・チェンジを強いることも辞さない」と言っていた。無論、「対話と圧力」を対北外交の基本軸としている以上、首相として表だって言えないことがあるのは理解できる。

とはいえ、金正恩第1書記が当面、米国などとの外交交渉など求めていないのは、今や明らかだ。それなのに、「圧力をかけて対話の場に引き出そう」などと考えてみても、空回りを続けるだろう。

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