紀元前4世紀の哲学者ソクラテスが教える「お金との最適な距離」 (1/3ページ)
ソクラテスといえば、だれもが知る古代ギリシアの哲学者。いまから2400年前、生まれ故郷であるアテナイの街に出て、若者に質問を投げかけて対話をしていたということで知られています。
本人すら気づかない「本当の考え」を引き出す「ソクラテス式問答法」という対話法を得意としていたことも有名な話。
『ソクラテスに聞いてみた 人生を自分のものにするための5つの対話』(藤田大雪著、日本実業出版社)は、そんなソクラテスが登場人物として活躍するユニークな書籍。
現状に不安や不満、疑問を感じる27歳の青年と、いきなり目の前に現れたソクラテスとの対話を軸に、ストーリーが展開されていくのです。
きょうはそのなかから、第4章「お金 お金との「ちょうどいい距離」とは?」に注目してみたいと思います。
■投資は確実に富をもたらすものではない
将来の生活を不安に思っていたサトルは、その打開策として「投資」に注目し、その重要性をソクラテスに説きます。
ところが意見は噛み合わず、ソクラテスはサトルに「投資をする人の人生を吟味しよう」と提案します。
将来の生活を憂えて投資をはじめようとしているということは、投資によって将来の生活不安を和らげたいと願う心が宿っているということ。
では、その心は、それが宿った人間の魂を全体としてどのようなものにつくり変えていくものなのか? すなわち、投資家のメンタリティを持つことが、人間の生き方にどういう影響を与えるのか?
ここで重要なのは、投資が必ず儲かるものではなく、不確実性が伴うものであるという事実。どんなに優秀な投資家であっても、損をする可能性はゼロではないということ。
つまり投資は、確実に富をもたらす性質のものではないとソクラテスはいうのです。
■備えあれば本当に「憂いなし」でもない
だとすれば、投資によって将来の生活不安を和らげたいと願う投資家たちは、自分の意のままにならない事柄に自らの運命を委ねているということになるはず。