“危ない金融商品”を生み出した アベノミクス最後の大罪 (2/2ページ)
証券会社は売買手数料ビジネスなので、顧客の現預金をどう金融商品に向けてもらうか、金融商品を買ってもらった後も、どう売買を繰り返してもらうかを考えます。ただ、アベノミクスもよかったのは半年ぐらいで、その後は二極化相場になって、銘柄によって株価の動きが大きく異なるようになりました」
大手の営業マンの中にも、過剰な勧誘を行ってリスクの高い金融商品を買わせた揚げ句、顧客に損失を与えた例が続出した。
2年前の報道だが、りそな銀行の20歳代の男性行員が、担当していた顧客から私的に約1億5500万円を集めて外国為替証拠金取引(FX取引)などで運用し、大半を消失させた。同行は、行員が業務外で資金を集めることやFX取引を行うことは認めておらず、金融庁に報告。この行員は自殺していて、顧客から「連絡が取れない」と問い合わせがあって事件が発覚した。
リスクの高いFXをめぐるトラブルは山のようにあるが、投資信託も往々にしてトラブルの種になる。新規に設定された投資信託や新規募集の債券などは“募集もの商品”と呼ばれ、これらは本部の営業企画サイドから各支店毎に販売量のノルマが決められることがあるという。
「ノルマはまず、本社から各支店の支店長に下ろされ、続いて各課長に下ります。現場の営業マンには大きなプレッシャーがかかり、このノルマが大きいときは、支店の顧客に広く提案しなければなりません。少し前まではリスクの高い外国通貨建ての投信も活況で、日本の個人投資家向けに新しいファンドが次々設定されました」(前出・営業マン)
先頃、日銀が発表した統計によると、家計が保有する金融資産総額1741兆円の半分以上が現預金だという。米国は約14%、ユーロ圏では約34%。日本人の資産運用が現預金に大きく偏っているのは明らかだ。
政府が望むように、この貯蓄が投資に向くことが経済活性化の材料になるのは悪いことではない。しかし、「素人でも簡単に成功できる」状況が終わり、ちょっとした成功体験のせいで爆死する素人投資家が増えるというのもまた事実だ。
熊本地震の影響もあるのか、日経平均株価は反落と続伸の繰り返し。個人投資家にとって相場の不透明感は増すばかりだ。アベノミクスの柱は大胆な金融緩和だが、マーケットにじゃぶじゃぶと注がれるカネはこの先、どこに向かうのだろうか。