AV業界は自滅する?大規模なガサ入れをした警察の"真の目的"とは【3】 (3/3ページ)

東京ブレイキングニュース

■セックスワーカーは労働者なのか個人事業主なのか

 そもそもの話になるが、先ほど述べた「AV=有害業務なのか」以前の問題で、セックスワーカーは労働者なのだろうか。警察は「実質上の雇用関係だ」と看做してはいるが、彼女らの大半は常に個人事業主として契約しているから、雇用者に与えられて当然の権利がない。多少困る事があっても法的なバックアップをしてもらえず、確定申告など解らないからしていないという子も大勢いる。

 これがメーカーなどのスタッフ・社員であれば労働者としての権利を認めてもらえる分だけマシで、業界内で最も優遇されているはずのAV女優は、労働者なのか個人事業主なのか、その時々によって都合よく解釈を変えられてしまう。今回のような事件が起きた場合だけは「被害に遭った労働者」として扱われ、労働者派遣法や職業安定法などが適用されるが、実際の契約内容は個人事業主なのだから、社会保障の類となると話は別となる。

 この矛盾をまずは解決して欲しいのだが、仮にプロダクションがAV女優を「雇用者」として契約してしまうと、すべてのAVプロダクションが問答無用で有害業務うんぬんで滅多打ちになる。それに出演する作品の内容次第では、下手をすると管理売春の罪に問われる可能性まで出てしまう。

 このように、労働者派遣法などの文面が今のままである限り、セックスワークに従事する人間にとっては、退くも進むも同様に地獄でしかない。業界の改善、セックスワーカーの待遇改善のために今すぐ何かするというなら、まずはこの「労働者なのか否か」について国と掛け合う事なのだが、おそらくそれに対して警察は意地になって抵抗するだろう。

 裸商売に限らず、アウトローなど治安を乱す要因となり得る属性の人間が多くいる場所に対して、警察はこのように「いつでも簡単に逮捕できる」という状況を作ろうとする。それが確かに悪者を監視・抑制するのに役立っている面もあるので、一概に否定はできないのだが、その代償として罪もない末端のセックスワーカーらが生活できない状況にされるというのでは非難せざるを得ない。こうした警察の都合まで加味して落としどころを探る事は、果たして可能なのだろうか。

Written by 荒井禎雄

Photo by StephaniePetraPhoto

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