原発事故も電力自由化も何のその 東電 関電 “シャンシャン総会”舞台裏 (2/2ページ)

週刊実話

1年に1回の株主総会で、なんで大株主に対して意見を聞こうとする機会を持たないんですか。おかしいじゃないですか」

 結局、吉村市長は5分37秒話し、これに対して八木誠社長(総会後に会長就任)は「ただいま大阪市さまからいただきました貴重なご意見につきましては、今後の経営に生かしてまいりたいと考えております」と官僚的な答弁で応じた。
 大阪市と京都市共同の株主提案も含めすべての株主提案は否決され、経営陣の発言に対し「説明になっていない」などと株主からヤジが飛び交った。吉村市長は総会後、報道陣に対し「関電側からすれば原発再稼働ありきで“答え”は決まっている。不満のガス抜きの場としか見ていない」と苦言を呈した。

 さて、今年はどの大手電力の総会でも、電力自由化が議題になることは昨年に比べてかなり少なかった。というのも、心配されたほどユーザーが流出していないからだ。6月上旬の時点で契約切り替え件数は約111万件。これは契約総数の2.2%にすぎない。また、切り替えは首都圏で6割以上を占めているので、地方の大手電力会社はほとんど脅威に感じていないのかもしれない。
 「どの電力会社も短期的には原発再稼働を急ぎたい。業績のために石炭や液化天然ガスなどの燃料コストを安く上げようとするからです。ただし、原発は近い将来、老朽化施設の追加安全対策費用のために大きなコストが必要となる。これは会社と株主の双方に大きなリスクです。それでも今年の総会が“シャンシャン”に近い形だったのは、史上空前の原油安だった恩恵を受け、各社の決算が黒字だったから。例えば、東電は火力発電の燃料費が1兆円以上も減り、対前年比で経常利益が1000億円以上の大幅プラスとなった。電力自由化と原油価格、この二つは今後も不確定要因として大手電力の経営の屋台骨を揺らし続けるでしょう」(前出・記者)

 原油価格の乱高下はいつまで続くか、エコノミストでも見通せない。自由化については日本人は消費行動が保守的なため、まだ様子見の人が多い。しかし、今後は契約を切り替える人が少しずつ増えるだろう。
 もし、原発再稼働に突き進む大手電力に三くだり半を突き付けるべく、多くの消費者が契約解除をすることになれば、倒産する大手電力が出てきても不思議ではない。それは、自由経済のダイナミズムとしての証明とも言える。

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