83歳筆者が考える「ウナギ」問題...たとえ我々の「文化」だとしても (5/7ページ)
それは店を訪れた客の中で、希望者には無料で自ら経営するビニールハウス内の養鰻業務を見学させ、養殖鰻にも触れて貰い、理解を深めることと、現在ヨーロッパウナギおよびニホンウナギの稚魚が絶滅危惧種に指定されており、また輸入規制を受けている結果、残されたルートからの稚魚を細々と養殖している実態を伝え、更に米国のWWFという自然保護基金はワシントン条約の中に、あらゆるウナギの輸入規制を盛り込むことを提案している状況で、もしこれが来年開催予定のワシントン条約会議で取り上げられ、決定するような事態となれば、ウナギの養殖自体が不可能となることを、一般消費者にもアピールし、考える機会を提供する、というものだ。
インタビューを受けた見学者は「鰻が、ジャイアントパンダやトキと同じような絶滅危惧種とは知らなかった。」と口々に答えていた。そして、全面的な輸入規制が実現すると、鰻の蒲焼きに供することの出来る鰻は日本国内で獲れる天然のニホンウナギだけとなり、流通量は今の2割程度となるというのだから、一般庶民の口に入る機会は殆ど永久に失われることになるだろう。
このような最悪の事態を何とか回避しようという努力も、無論、それこそ文明的な視点から積極的に行われている。特に、日本人は何とか乱獲を避け、資源保存に繋がる手立ては無いか?と色々な試みをずっと続けて来た。
だが、これだけ人類、特に日本人やスペイン人に親しまれている生物でありながら、鰻にはまだまだ解明されていないことも多い。例えば、その産卵についてだ。
鰻の産卵の状態は今のところ不明で、その実態は確認出来ていない。具体的には、産卵場所も、時期も、その様子も、未だ嘗て誰も確認したことは無い。その鰻の産卵状況を世界で初めて撮影し、記録に留めようと、研究、努力されている方が、世界的な第一人者とされるウナギ博士日本大学教授塚本勝巳氏である。
彼は、その産卵場所を西マリアナ海嶺と見当をつけ、『2011年6月29日学術研究船白鳳丸に搭載したプランクトンネットを用いて、産卵直後から2日程度経過した147個の受精卵の採取に成功した。春から夏にかけての新月の2-4日程度前の日没から23時の間、水深150-180 mで産卵されたと推定される。