83歳筆者が考える「ウナギ」問題...たとえ我々の「文化」だとしても (6/7ページ)
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(注)『』内はウィキペディア(一部筆者による補足あり)より。しかし、産卵状態そのものの撮影は台風の影響で、現場海域への白鴎丸の到着が遅れたため、成功していない。今後の成果が待たれるところだ。
一方、鰻の完全養殖も、三重県にある国立水産総合研究センター増養殖研究所で、今から6年前の2010年に既に成功している。
これは先ず、ウナギの卵を人工授精させて、受精卵を飼育するというものであるが、孵化は受精卵の3割成功したが、稚魚まで成長するものは更に0-15%である、という。最初の内は、このレベルにすら到達できず、卵が孵化して、いわゆるレプトセフェラス*『(葉形幼生、Leptocephalus)と呼ばれ、成魚とは異なり透明な柳の葉のような形をしている。この体型はまだ遊泳力のない仔魚が、海流に乗って移動するための浮遊適応であると考えられている。』となっても、これを育てるための餌が不明で、全て死滅させてしまっていた、という。
*(注)『』内はウィキペディア(一部筆者の補足あり)より。余談だが、筆者はレプトセフェラスを、過去に自身の目で観察したことがある。場所は確か、当時自分の小型ヨットを保管していた三浦海岸の波打ち際で、小学生前後の長男を同道していた。研究チームリーダーの田中秀樹さんは、レプトセフェラスの餌を求めて20種類以上の物質を試し、ついにレプトセフェラスが食べる餌を発見した。それはアブラツノザメの卵であるという。その結果、孵化したレプトセフェラスを稚魚まで育てることが可能となり、更にこれを育てて卵子や精子を採取するところまで到達し、これらを再び人工授精して、孵化させるという循環状態を確立することに成功している。
そんな完全養殖技術があるなら、その改良を進めれば、鰻の蒲焼きの未来は明るく、何の心配も無いではないか?と読者は思われるかも知れぬが、実際は、そう単純なものでは無く、たとえ、今の完全養殖技術が実施されたとしても、その実用化には程遠く、結論から言えば、現在の日本国内の消費量の略1割程度を補う役にしか立たない、という。
その理由は、苦労して発見した、現在唯一のレプトセフェラスの餌であるアブラツノザメの卵にある。