世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第193回 世界の歴史はイギリスから動く (1/3ページ)
大変興味深いことに、世界の歴史はまずイギリスから動く。
現代型資本主義の始まりとなった産業革命は、イギリスがインド産綿製品(キャラコ)に対抗することを目的に、国内で生産性向上のための技術投資、設備投資を実施したことで口火を切った。
当時、イギリス国内の衣料品市場はキャラコに席巻されており、イギリスは綿製品について資本集約型の生産を実現するべく、莫大なお金を投じた。最終的には蒸気機関というGPT(汎用目的技術)の誕生につながり、蒸気機関車、蒸気船など、さまざまな製品が開発されていった。
帝国主義の先駆けとなったのも、もちろんイギリスである。
産業革命で綿製品の生産性を高めたイギリスは、インドに対し「自由貿易」を要求。インドを英国産綿製品の市場、および綿花の調達先として支配。インドの住民には主権を与えない、いわゆる「植民地型」の帝国主義が本格的に始まった。
そもそも“帝国主義”という言葉自体が、1878年に自由党系のイギリスの新聞が、保守党政権の対ロシア強硬外交や国内の排外的愛国主義の風潮を批判するために用いたことに端を発する。
グローバリズムの象徴であった「金本位制」を開始したのもイギリスである。
1816年にイギリスで貨幣法が成立し、ソブリン金貨について自由鋳造、自由融解を認め、唯一の1ポンド法貨として流通させることになった。ちなみに、自由鋳造、自由融解とは、金(きん)の所有者が政府に対し、相当額の金貨との交換、もしくは貨幣への鋳造を要求できるという話で、勝手に個人が金貨を鋳造、融解するわけではない。
さて、自ら率先して始めたにもかかわらず、大恐慌後に真っ先に金本位制を離脱したのもイギリスだ。
1931年に英マクドナルド内閣が、世界に先駆けて金本位制停止に踏み切ったのである。
第2次世界大戦後の「福祉国家」を始めたのもイギリスである。
第2次大戦終結直後に、イギリスで社会保障制度の拡充を示す「ベヴァリッジ報告書」が提出された。1945年に労働党のアトリー政権が成立したこともあり、イギリスは国民保険法、国民保健サービス法などを成立させ、体系的な社会保障制度を構築。医療費の無料化、雇用保険、救貧制度、公営住宅の建設などの「福祉国家」を開始する。