世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第205回 『対外直接投資と逆輸入』という問題 (2/3ページ)

週刊実話

まさに、日本の対中直接投資がそうだったのである。

 日本の対中直接投資は、1980年代まではゼロに等しかった。その後、21世紀に入って以降に急増。東日本大震災が発生した2011年には、年間100億ドル(約1兆円)を上回った。
 これはもちろん、震災を受けて日本企業が生産拠点を日本国から「脱出」させたためだが、それにしても2000年以降の対中直接投資の急増には驚かされる。生産拠点が中国に移ると同時に、日本は対中輸入、すなわち中国からの輸入を増やしていく。中国に生産拠点が移り、中国人民の労働により生産された生産物が、日本へと輸出されていったのである。

 本連載において、経済の「三」要素について資本、技術、労働であると解説してきたが、実はあれは「経済の供給能力」を構成する三要素なのである。三要素に加え、資源、需要という二つが加わらない限り「経済」は成り立たない。
 下図(※本誌参照)からも分かる通り、わが国は21世紀に入って以降、中国への工場建設などを意味する「対中直接投資」と、中国から最終製品を輸入する「対中輸入」の双方を拡大し続けてきた。
 理由はもちろん、そちらの方が企業の利益が大きくなるためだ。同時に、デフレで貧困化した国民もまた、安い製品の購入を望んだ。
 日本は中国に経済の「五要素」のうち、「資本」「技術」「需要」を献上し、中国経済の成長を助け、自国のデフレーション、貧困化を長期化させた。加えて、中国の軍事支出拡大を支援し、自国の財政余力を低下させ、安全保障を弱体化させることを続けてきたのである。これで亡国に至らなければ、むしろそちらの方が不思議だ。

 この種の問題は、もちろん先進国共通である。実はすでにある国で「対外直接投資と製品逆輸入」が政治問題化し、改善が始まっている。
 驚くことに、アメリカだ。
 アメリカのフォード・モーターは、1月3日、メキシコへの直接投資(工場新設)を取りやめ、代わりに米ミシガン州の工場で電気自動車(EV)と自動運転車を製造すると発表した。フォード社はメキシコの新工場において小型車を生産し、アメリカに「逆輸入」することを計画していたのだ。
 それに対し、ドナルド・トランプ次期大統領が「恥知らず」と批判。

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