日本人の生産性が欧米にかなわない決定的な理由 (2/4ページ)

新刊JP

――個人としての生産性が下がってしまう働き方についてもお話を伺いたいです。長時間労働は結果として時間あたりの生産性を下げてしまうものですが、「自分がいないとこの職場は回らない」と考えて仕事を抱え込みすぎると、どうしてもこのパターンになってしまいますね。

山極:「自分がいないと仕事が回らない」は完全に勘違いで、そういう人は一度強制的にでも休ませて、自分がいなくても職場に何も問題は起きないということをわかってもらう必要があります。

もちろん、顧客対応があったり締め切りがあったりといった日に休むのはまずいですが、そこさえ気をつければ、どんなに仕事ができる人が休んでも何も問題は起こらないはずです。

――遅くまで残っている上司の手前、早く帰りにくいという声もよく耳にします。

山極:本来は上司が真っ先に休んだり、帰ったりするべきなんです。自慢ではないですが、私は日産にいた頃、部長職の人間の中で一番残業が少なかったんです。

――時間内にすべて仕事を終わらせていたということですか?

山極:いえ、終わらなくても帰るんです。それも、ものすごく中途半端でキリの悪いところであえて帰る。

――なぜですか?

山極:中途半端で切り上げれば翌朝はその続きから始めるわけで、前日キリのいいところまで終えて、翌朝新しいタスクを1から始めるよりも早く仕事に入っていけます。

人間のパフォーマンスは朝が一番高いことを考えると、全部終わらせて帰るというのは、生産性としてはあまり高くない。「キリのいいところまでがんばろう」などと思わずに、途中だろうと時間がきたら帰るという働き方の方が、個人としての生産性は上がると思います。

――働いている身としましては、海外との生産性の違いは不思議です。労働生産性の高い国の労働者と日本人労働者の働き方はどう違うのでしょうか。

山極:ひとつ注意していただきたいのは、国としての生産性というのは産業構造にもよります。ルクセンブルクが代表的ですが、金融業の多い国は概して生産性は高い。

ただ、それを差し引いても日本の労働生産性が低いのは確かです。では何が違うのかと考えると、欧米の労働生産性の高い国は家族と過ごす時間をものすごく大切にしますよね。

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