世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第242回 デフレと人手不足を同時に解消する (1/3ページ)

週刊実話

 2017年8月の消費者物価指数は、コアCPIで対前年比+0.7%、コアコアCPI(食料〈酒類除く〉及びエネルギーを除くCPI)で対前年比0%と、相変わらず低迷している。GDPデフレータは、直近の数字で対前年比マイナス0.4%。
 要するに、日本のデフレは継続しているのだ。デフレとは、総需要の不足という経済現象(貨幣現象とやらではない)。総需要が不足するならば、当然ながら仕事も減り、人手は過剰になっていく。ところが、わが国はデフレが継続している状況であるにもかかわらず、人手不足が顕著になってきている。直近の失業率は2.8%。有効求人倍率は、1.5倍を上回った。

 なぜデフレであるにもかかわらず人手不足が進行しているのか。理由はもちろん、少子高齢化の影響で生産年齢人口比率が低下し、同時に高齢化の影響で医療・福祉(特に介護)の需要が拡大しているためだ。左図(※本誌参照)の通り、リーマンショック後の'09年1月と比較すると、直近の建設業の就業者数は▲25万人、製造業が▲89万人と低迷中。卸売・小売業が+10万人と辛うじて増加。
 それに対し、医療・福祉(介護など)は、何と216万人の増加となっている。医療・福祉分野の雇用創出力は、まさに圧倒的である。医療・福祉分野における就業者数の増加を、アベノミクス、あるいは「金融緩和」に起因するものと主張する人が少なくなく、困惑してしまう。別に、金融緩和の影響がゼロとは言わないが、「金融緩和」から「介護における雇用拡大」に至る政策の波及経路を教えてほしいものだ。

 日本の医療・福祉分野における需要増は、もちろん「高齢化」の影響である。高齢化により、介護の需要が伸びているからこそ、雇用も増えたのだ。すなわち、人口構造の変化が主因であり、アベノミクスの影響として見るのは無理がある。
 高齢化により、医療福祉の需要が拡大し、反対側で生産年齢人口比率が低下している。日本の失業率が低下し、人手不足が深刻化するのは、当然すぎるほど当然なのだ。ちなみに左図(※本誌参照)の産業分野が製造業、建設業、卸売・小売、医療福祉に限定されているのは、この4分野の就業者数が最も多いためである。4分野だけで、日本の就業者数の5割を超えるのだ。

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