やくみつるの「シネマ小言主義」 才能に惚れられる、伝説のギタリストが羨ましい! 『永遠のジャンゴ』 (1/2ページ)

週刊実話

やくみつるの「シネマ小言主義」 才能に惚れられる、伝説のギタリストが羨ましい! 『永遠のジャンゴ』

 「まだ、作るの?」と思わずツッコミたくなるほど繰り返し描かれるナチスによる弾圧の歴史。決して風化させまいということなのかもしれませんが…。
 とはいえ、本作は伝説のギタリストを切り口にしているところに新鮮味があります。ドイツ占領下のフランスを舞台に、ロマ出身の天才ジャズギタリスト、ジャンゴ・ラインハルトが弾圧の手に追いつめられながらも演奏し、ついに国外逃亡を企てるという実話です。

 好感が持てるのは、ジャンゴをヒーロー然として描いていないところ。まともにできるのは超絶テクの演奏だけ。あとは彼をとりまく強い女たち、母、妻、愛人に仕切られ、流されるままのダメダメ人間。まあ、男なんてそんなもんです。
 驚いたのは、登場人物の誰もが煙草を吸いまくっているところ。禁煙・分煙なんてない時代というのもありますが、生活が貧窮して食べるものがないという時でも、どこから調達してきたのか煙草だけは不自由していない。この時代の暗うつな雰囲気を、全編を包むモヤモヤした紫煙で演出しているのかも。これからご覧になる方は、ぜひ何本吸っているか数えてほしいですね。なお、禁煙中の方は我慢できなくなるはずなのでご注意を!

 物語の中の小さなエピソードですが、ジャンゴがクラーク・ゲーブルのモノマネをするシャレたシーンがあります。同じ口ひげをたくわえていることもあり、知っている人が見れば似ているのかもしれませんが、マニアックすぎてよく分かりません。まあ、自分もめったに行かないカラオケで、アイ・ジョージのマネをして歌っても、誰にも分かってもらえず、寂しい思いをしていますが…。
 ジャンゴには愛人がいます。この人だけは史実にないそうですが、自立した美しい女性で、ジャンゴとその家族をナチスの追手から逃すために奔走します。こんな聡明な美人がこの男のためになんでそこまで? と思ってしまうのですが、どうやら彼の才能に心酔している模様。

 実に羨ましいですね。自分の才能に心酔してくれる女性って。自分にもまれに心酔している旨のお便りをいただくこともあるのですが、カミさんにからかわれるほど、ことごとく年齢層が上の方ばかり。
 よく言われるのは「母がファンなんです」という一言。いつだったか、AV女優の森なな子嬢から「父がファンなんです」と。

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