永遠のロングセラーはどう生まれたか。みすず書房と『夜と霧』の60年 (6/7ページ)

新刊JP


日本語訳の『夜と霧』も、フランクルが付けたタイトルとは違います。しかし、これが非常に売れた」

もちろん、「ベストセラーになったのはタイトルを変えたから」という単純な話ではないが、その要素もおそらく一つ入っているのではないだろうか。

ちなみに日本語版タイトルの『夜と霧』の由来は、1955年にフランス人映画監督アラン・レネが撮影した同名の短編ドキュメンタリー映画にある。

この映画は、ナチスによるアウシュヴィッツ強制収容所におけるホロコーストを記録するドキュメンタリー映画で、フランクルの本とは全く内容が異なる。しかし、残虐なシーンを含むこの映画は当時、日本において「輸入禁止」扱いされ、話題になっていた。

「みすず書房は、その話題に乗じてタイトルを“拝借した”ということです」と語るのは守田氏だ。

「もし、当時の編集長が『夜と霧』というタイトルをつけず、そして解説も資料も載せない作りにしていたら…今のみすず書房はどうなっていたか分からない。そのくらい影響力の大きな本です」

そんな『夜と霧』が日本で出版され、60年余り。新版への“リニューアル”やオーディオブック化を経て、多くの読者の心に、フランクルの言葉が刺さり続けている。

「『夜と霧』の読者カードの特徴は、感想をびっしりと書いてくる人が多いということです。おそらく、書かせる力があるのでしょう。それも老若男女もれなく、です。幅広い層の読者が返事をくれる。親子三世代で読んでくれている人もいます。

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