永遠のロングセラーはどう生まれたか。みすず書房と『夜と霧』の60年 (5/7ページ)

新刊JP

1977年にはフランクル自身が改訂を行った原書の新版が母国で出版されたが、『新版 夜と霧』の翻訳者・池田香代子氏のあとがきによれば、かなりの旧版と新版でかなり異同があったようだ。

時代が進むことで変化することもある。
「アウシュヴィッツ」や「ホロコースト」の事実が広く知れ渡った時代だからこそ、変えるべき表現が存在していた。

ちなみに、日本語翻訳版の『新版 夜と霧』が出版されたのは、フランクルの改訂から25年後の2002年だった。守田氏はその中心人物であったが、当時を振り返り「旧版から新版へのバトンタッチ」を考えていたという。

「21世紀になり、新版へのバトンタッチは考えていました。でも、(旧版の翻訳者である)霜山さんのところに新版の翻訳を持っていく直前に、『旧版、新版の両軸で行こう』と考え直したのです」

現在、書店に並ぶのは新版がメインとなってはいるものの、解説や資料がついている旧版の方が好きという読者もいるという。
でも、旧版と新版いずれも、フランクルの普遍的なメッセージを受け取ることができるはずだ。

■『夜と霧』ベストセラーの原点はタイトルにあり?

最後に書籍タイトルについて触れておきたい。
守田氏が明かしたタイトルの「秘密」から本書がベストセラーとなった道筋が見えてくるからだ。

「世界的なベストセラーといわれていますが、実はメインで売れているのは日本とアメリカです。ドイツでもある程度読まれているけれど、やはり日本語版と英語版。そして共通しているのがタイトルです」

英語版のタイトルははじめ、“From Death-Camp to Existentialism”、直訳すると「死のキャンプから実存主義へ」というものだった。しかしさっぱり売れなかったようだと守田氏は語る。

「そこから“Man’s Search For Meaning”(生きる意味を探す)というタイトルに変わったところ、アメリカでベストセラーになった。フランス語版はこの英語版のタイトルをフランス語に訳して付けています。

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