【連載】『あの人の学生時代。』#20:鈴木亮平「好きなことにとことん、まっすぐ」 (5/7ページ)
だから、僕もこれから先挫折することはあると思いますが、その経験も全部無駄にはならないな、ということを学んだ気がします。
――撮影に入るまでに、どんな役作りをされたのか教えてください。
作者の主観が入ってしまうかもしれないと思ったので、西郷さんに関する小説など、読み物はほとんど読んでいません。それよりも、自分の足で、自分で見たものを信じたいと思ったので、西郷さんがいた場所である京都、九州、奄美、沖永良部島をひとりで回りました。
本番はセットでの撮影が多くなるので、その土地の気候や見える景色、はるか向こうにはどんな海が広がっているのかなどを体感していないと、「匂い」みたいなものが出せません。それに、自分自身いろいろなところに行って体験することで、どんどん西郷さんという人が他人に思えなくなってくるんです。演じる役への愛が深まってくるんですよね。
僕は、いかに西郷さんへの愛とリスペクトを持って演じられるかということをいちばん大事にしているので、ゆかりのある場所に実際に行き、そんな気持ちを身にまとって撮影に臨んでいます。
すばらしいです。本当にタイプが違うんですよね、僕ら。僕はふだん現場でずっとしゃべっているんですけど、瑛太くんは静かで……。瑛太くんと僕はクールな人と明るい人、っていう感じで対比がすごくありました。
でも、お芝居になると瑛太くんも熱いものを持っていて、すごく真心が伝わってきます。お互いその真心をぶつけ合って、愛情を爆発させて演じています。僕の俳優としての瑛太くんへの尊敬もあいまって、(西郷)吉之助さんと正助さんがお互いに尊敬しあっている関係というのが作れているんじゃないかなと思います。
いっぱいあるんですけど、強いてあげるなら吉之助さんが正助さんを引っ張り上げる(出世させる)シーンです。でもそれを正助さんは気に入らなくて、「上から偉そうにしてんじゃねぇ」みたいな態度を取ってしまう。