江戸時代からあった言葉「バカチョン」が差別用語になった経緯 (1/2ページ)

全自動コンパクトカメラのことを“バカチョンカメラ”と呼んだのは、1980年代までで、その後は差別用語として分類され、現在は放送禁止用語になっている。
三省堂の『大辞林』によると『チョン』は、句読点など以外に《事件はあっけなくチョン(終わり)になった》や《人員整理でチョン(クビ)だよ》とある。また“バカだのチョンだの”という表現は、明治3年に出版された仮名垣魯文の小説『西洋道中膝栗毛』にも出てくる。つまり江戸時代から、人間が一人前でない状態を示す言葉として使われていた。
ところが“チョンコ”や“チョン”という言葉が朝鮮人を指す蔑称としても使われるようになった。そこで“バカでもチョンでも”といった事例や“バカチョンカメラ”は民族差別として捉えられ、抗議されるケースが増えたことで、多くのメディアが使用を自粛した。
新聞記事や放送原稿を校閲する際に用いられる共同通信社発行の『記者ハンドブック(第13版)』には、読者に不快感を与える言葉として『バカチョンカメラ』を『簡易カメラ』、『軽量カメラ』と言い換える(書き換える)ようにと用例されている。
差別用語に関する専門書『私家版差別語辞典』(上原善弘著)の『チョンコ』の項目には、《主に関西方面でよく使われた在日朝鮮人・韓国人を指す呼称で、語源は朝公(チョウコー)から来ているとされている》と記載されている。
いつから差別用語として扱われたのか
“バカチョンカメラ”のもともとの使い方には、朝鮮人蔑視の意味は何もないのだが、一方に朝鮮人を指す蔑称として“チョウコー”が“チョンコ”に変化し、それがいつのまにか「バカでもチョンコーでも」の意にすり替えて、あるいは意図的にそう考えるように仕向けられ、マスコミが乗ったという事情がある。つまり、実際は深刻な問題なのだが、“バカチョンカメラ”のチョンは、「バカでも朝鮮人でもできる」という意味に捉えるよう仕向けられ、差別用語にされてしまったわけだ。