なぜ語彙力があると「デキる」と思われやすいの?――【言葉の専門家×若者】社会で活躍するための“語彙力”基礎講座<前> (8/8ページ)

新刊JP

山口:そうです。もう一つ、彼が使って今でも大きな影響を残している言葉があります。これは問題になることもありますね。「ら抜き言葉」です。

一同:えぇー!?

山口:『伊豆の踊子』も『雪国』も使っています。彼の著作はラジオドラマ化され、ラジオ放送もされていますが、やはり「ら抜き」が使われています。

岩崎:すごい…。でもなんで川端康成はそういう言葉を使ったんですか?

山口:どちらも大阪の言葉ですね。実は新しい言葉ではなく、昔の大阪の言葉です。それは彼が祖父祖母から言葉を学んだという背景があるでしょう。そしてその言葉をもって小説を書いていったところ、世界的に評価を受け、「これがノーベル賞を受賞した作家の文体だ」といって流行したのです。

――ただ、「ら抜き言葉」を使うと、今でも指摘を受けますよね。

山口そういう時はぜひ言って下さい。これは川端のせいです、と(笑)。今はコンピューターで言葉の分析ができるのですが、実際に分析したところ間違いありません。皆さんが今、「ヤバい」と使っているのも川端のせいなんです(笑)。

後編は「語彙力の付け方」を伝授!

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