世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第264回 東京とジャカルタ (3/3ページ)

週刊実話

その状況で、「美しい人口ピラミッド」の場合、若年層が「余る」環境にならざるを得ない。実際、ジャカルタの町では、日本では1人でこなすべき仕事場に2人、3人と「若者」が働いていた。彼らの生産性は極めて悪く、給与水準も低い。だからこそ、Gojekドライバーの成り手には事欠かない。

 完全雇用が成立していない状況で、人口ピラミッドが「美しいピラミッド型」の場合、本当に中長期的な経済成長が実現できるのか。何しろヒトが余っているため、生産性向上が「不要」になってしまう。
 生産性といえば、ジャカルタの渋滞は生産性を思いっきり引き下げている。政府が交通インフラに大々的に投資しない限り、生産性は低迷したままだろう。生産性が高まらなければ、国民は豊かになれない。生産性が向上しやすいインフラ環境を作った上で、若年層が増えていくというならば、まだ理解できる。生産性向上で実質賃金が上昇し、「豊かになる若い世代」を中心に中長期的な経済成長を実現できるだろう。

 インドネシア政府は問題を認識しており、東京に倣いジャカルタ中心部や周辺の交通インフラを整備している。とはいえ、何しろ日本は歴史的に、道路に2輪車が満ち溢れる「バイクの時代」を経験したことがないのだ。東京圏がここまで膨張した最大の理由は、公共交通機関が異様なまでに発達しているため、人々が基本的には「徒歩」で動いていることだ。
 現地に赴くとジャカルタのインフラ整備は「手遅れ」の可能性が高いのではないかと考えるようになった。東京の人口はいまだに伸び続けているが、ジャカルタは交通インフラがボトルネックとなり、都市圏の拡張が終わるのではないかと予想している。

みつはし たかあき(経済評論家・作家)
1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、分かりやすい経済評論が人気を集めている。

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