【World Deaf Rugby 7's】クワイエット・ジャパン3位に届かずも立派に戦う。 (3/4ページ)
これに対しウエールズBは連続攻撃でゴールラインに迫ると、日本がオフサイド。クイックリスタートからトライを奪い、ハーフタイムを同点で迎えた(5-5)。
後半、大塚貴之主将が投入された。初日の怪我からの復帰である。
後半1分、その大塚がジャッカルでペナルティを奪った。事前の分析で、ウエールズBはラックへの寄りが遅いことを確認していた。経験値の高い大塚が、それをすぐに実践した形となった。
これで勢いが出た。後半は終始日本のペース。後半3分、中央で得たペナルティから、用意してきたサインプレーで再び土田がトライ。準決勝進出を決めた(10-5)。
次の対戦相手はイングランドだった。予選ラウンドでは 0-29で完敗している相手だ。
しかも再試合の影響で試合間隔が短縮され、試合開始はわずか50分後。
クワイエット・ジャパンの戦いは、ここからが本番だった。
イングランドのキックオフから日本のアタックが始まった。観客席では、日本がボールを持つ度に歓声が上がる。フィジカル面では劣るが、準備されたアタックと規律あるディフェンスで戦うクワイエット・ジャパンの姿は、観衆を味方につけていた。
クワイエット・ジャパンは堂々と戦った。しかしイングランドの壁は厚かった。
1対1の局面で止め切れずにラインブレイクを許す。試合は0-40で終了した。
しかし、気落ちしている暇はない。30分後には3位決定戦のキックオフが控えていたからだ。相手はフィジー・バーバリアンズ(以下、フィジーB)。チームは、休憩もほとんどないまま、ウォーミングアップへ向かった。
足取りは重く、会話もない。そんな空気の中、円陣で大塚主将が手と口で訴えた。
「3位のメダルを家族や友達に持って帰ろう。長い人生の中の、たった14分だ。出し切ろう」
そうだ、そうだ。仲間の手が強く動いた。
クワイエット・ジャパンの最終戦が始まった。
アンストラクチャーに強いフィジーに対し、日本は試合開始からアタックを1分以上継続。疲れを感じさせない集中力で、相手にボールを渡さなかった。